マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
来年度の社会保障費の自然増をめぐり、予算概算要求と財務省が認めた額とで1300億円もの差が出ています。日医の横倉会長は、待機児童解消に向けた保育所拡大に向けた国庫負担をも念頭に入れ、診療報酬本体にも影響が出かねないことに対する懸念から「社会保障費とは別に財源を確保すべき」と釘を刺しています。

日本医師会の横倉義武会長は29日、東京都内で開かれた医療フォーラムの講演で、子ども・子育て支援などについて、高齢化による社会保障費の自然増の範囲に入れず「きちんと別の財源を考慮していただきたい」と強調した。その上で、別財源を確保できなければ、2018年度診療報酬改定で「(本体の)マイナスを食らう」と危機感を表明した。【越浦麻美】
18年度の社会保障費の自然増は、8月末の予算概算要求の段階で、6300億円と見込まれている。これに対し、財務省が認めた自然増は5000億円で、差額の1300億円について、横倉会長は、高額療養費の見直しや介護納付金の総報酬割の導入などで埋められるとの見通しを示した。その上で、診療報酬について「本体はプラスにできるのではないかと想定している」と述べた。
ただ、社会保障費の取り扱いは、子ども・子育て支援などの財源が大きなポイントになるとも指摘した。3年間で30万人の待機児童を解消するには、保育所の拡大が必要で、1年間に10万人ずつ解消させるなら国庫負担は約500億円に上る。このため、社会保障費とは別に財源を確保しなければ、診療報酬本体にも影響が及びかねないと懸念を示した。
出典:医療介護CBニュース