マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
これまで「2年に1度」だった薬価改定が、2021年度からは毎年になります。2019年には消費税率の改定に伴い、全品目の薬価改定があるためです。早くも厚労省では、改定する対象品目に応じて削減できる医療費の試算も示しています。

厚生労働省は22日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会に、通常2年に1度、市場実勢価格に応じて全品目の薬価を改定する現行の制度を見直して、2021年度から毎年改定を実施することなどを盛り込んだ薬価制度の抜本改革案を提示し、おおむね了承された。【君塚靖】
次回の薬価専門部会では、業界団体からヒアリングをする。そこでの議論などを踏まえて、厚労省は薬価制度の抜本改革の最終案を取りまとめ、総会に諮る予定だ。
16年12月20日の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づき、中医協の薬価専門部会は、今年1月から10月までの間にテーマごとの議論を続けてきた。そこでの検討結果を厚労省が、薬価制度の抜本改革案として取りまとめた。この中には、製薬会社の研究開発投資を促進するために新薬に高い薬価を付ける「新薬創出等加算」の見直しも盛り込まれた。
薬価の毎年改定については、19年10月に消費税率の引き上げが予定されており、19年度に全品目の薬価改定がある。このため、これまでのような、通常2年に1度の薬価改定とは別の毎年改定は、21年度が最初になる。そこでは、すべての医薬品卸から、大手事業者を含め調査対象を抽出し、全品目の薬価調査を実施する。
18年度から20年度まで連続で全品目の薬価改定があることから、その3年間の市場実勢価格の推移や薬価差の状況、医薬品卸、医療機関、薬局などの経営への影響を把握する必要があるため、21年度の毎年改定の具体的な対象範囲は、20年中に設定する。
薬価制度の抜本改革案に毎年改定を盛り込むのに当たり、厚労省は、改定する対象品目に応じて削減できる医療費の試算も示した。薬価に対して平均乖離率2.0倍以上(約3100品目、全品目の約2割)だと年500億-800億円程度にとどまるが、平均乖離率1倍以上(約8100品目、全品目の約5割)だと年1900億-2900億円程度になるとしている。
出典:医療介護CBニュース