マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
東京・新宿の国立国際医療研究センター病院が医療従事者のために開設したAMR(薬剤耐性)の啓発・普及サイトが話題になっています。薬剤耐性を防ぐためには、抗菌薬を乱用せず、適切に使用する医師の「さじ加減」こそが問われます。

国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区、781床)は、薬剤耐性(AMR)の啓発・普及サイトを開設した。国内初の取り組みで、医療従事者向けのコーナーでは、抗菌薬の投与で患者の状態の改善を図れる一方、薬剤耐性菌が発生する恐れがあることを指摘。耐性菌で入院期間が延長した場合、医療経済的にもコストが増えるとしている。【新井哉】
体内に感受性菌と耐性菌が両方ある通常の状態で抗菌薬を投与した場合、耐性菌のみが残って薬剤耐性を拡大している背景がある。薬剤耐性を防ぐには、抗菌薬を乱用せず、適切に使用することが欠かせないため、昨年4月に閣議決定された「薬剤耐性対策アクションプラン」では、抗菌薬の適正使用を対策の一つに挙げていた。
こうした状況を踏まえ、同病院は、医療従事者などを対象にした啓発・普及サイトを開設した。医療従事者向けのコーナーでは、▽耐性菌が発生する原因、拡大の要因▽サーベイランス結果や新薬の開発状況▽海外でのAMR対応▽院内感染対策-などを取り上げている。
院内感染対策については、手指衛生やワクチン、サーベイランス、標準予防策、感染経路別予防策を提示。手指衛生を適切に行うため、十分な量の消毒剤を使用し、推奨された方法を順守することを推奨している。
ワクチン接種についても、受診を減らし、細菌による二次感染を減らすことに触れ、「広い意味で抗菌薬適正使用の一環」との考え方を示している。また、患者の体液などを扱う際は手袋を着用したり、分泌物が飛散する可能性がある場合はマスク、ゴーグル、ビニールエプロンを使用したりすることを求めている。
出典:医療介護CBニュース