マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
来年6月施行予定の、第3期がん対策推進基本計画書の策定に向けて議論している「がん対策推進協議会」で、厚生労働省は今後のがん予防策の柱として「肝炎対策」と「たばこ対策」を示しました。
肝炎対策に関しては、「全ての国民が一度は肝炎ウイルス検査を受けるように促す」ことを提案。
たばこ対策に関しては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「受動喫煙防止対策を強化」する必要があるとし、「喫煙による健康被害についての啓発」、「禁煙治療の保険適用拡大」、「未成年者や妊産婦らへの健康教育」も示しました。
厚生労働省は24日に開かれた「がん対策推進協議会」(会長=門田守人・堺市立病院機構理事長)で、がんの予防策の方向性を示した。肝がんのリスク要因とされる肝炎ウイルスについては、すべての国民が一度は検査を受けることを提案。また、肺がん対策として、受動喫煙防止策を強化する必要性も示した。こうした取り組みについて、委員から反対の声は上がらなかった。【松村秀士】
同協議会は、がん対策基本法に基づき厚労省に設置された組織で、来年6月に施行予定の第3期がん対策推進基本計画の策定に向けて議論している。この日の会合で、厚労省は今後のがん予防策の柱として、「肝炎対策」と「たばこ対策」を示した。
肝炎対策については、インターフェロンを使わずに治療が可能で、従来の薬よりも副作用が少ない薬剤が2014年9月に発売されたことを受け、重症化予防と肝がんの減少につながることが期待できると指摘。その上で、今後の対策として、地域の医療機関や職場でのウイルス検診を推進し、「すべての国民が一度は肝炎ウイルス検査を受けるように促す」ことを提案。また、その検査で陽性と判断された人に対し、「専門医へ受診するように勧奨する」とした。
禁煙治療の保険適用拡大も提案
たばこ対策に関しては、喫煙しない人が受動喫煙を経験する割合が依然として高いことから、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止対策を強化する必要があるとした。さらに、今後の施策として、▽喫煙による健康被害についての啓発▽禁煙治療の保険適用拡大▽未成年者や妊産婦らへの健康教育―も示した。
このほか、感染や生活習慣によって発症するがんについて、学校現場での教育や食生活改善運動などを通じた啓発を推し進める必要があるとした。

意見交換で、がん予防策の方向性に反対意見は上がらなかった。ただ、田中秀一委員(読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)が、「2020年までに受動喫煙ゼロを目指すべき」とし、目標を定めて対策を進める必要があるとの考えを示した。
また、難波美智代委員(一般社団法人シンクパール代表理事)は、「子宮頸がん予防ワクチンについて、国として立場を明らかにしてほしい」とし、同ワクチンの接種勧奨を再開するかどうか、方向性を明確にする必要性を強調。その上で、同ワクチンの接種をがん予防策に加えるかどうかを検討すべきだとした。
出典:医療介護CBニュース