マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
2014年度に創設された地域包括ケア病棟。2016年春の改定で、病院が手術・麻酔の診療報酬を入院料と別に算定できるようになりました。
急性期治療後の患者を受け入れやすくするためでしたが、地域包括ケア病棟協会の8月の調査によると、病棟から退院・転棟した1132症例のうち、手術を受けたのは、1割未満だったということがわかりました(短期滞在手術を除く)。
急性期治療を終えてリハビリテーションが必要な状態の患者や、在宅療養中に急性増悪した患者らを入院させる病院の「地域包括ケア病棟」で、入院患者に手術(「短期滞在手術」を除く)を行ったケースが1割に満たないことが、「地域包括ケア病棟協会」(仲井培雄会長)の会員調査で明らかになった。【佐藤貴彦】
地域包括ケア病棟は、病院の役割分担を進める上で、急性期治療後の患者を受け入れる「ポストアキュート」機能や、在宅療養中に急性増悪した患者を受け入れる「サブアキュート」機能などを果たす病棟が必要になるとして、2014年度の診療報酬改定で創設された。
当初、手術や麻酔を含め、ほとんどの医療サービスが定額の入院料に含まれていたが、今年春の改定で、病院が手術・麻酔の診療報酬を、入院料と別に出来高で算定できるルールに見直された。この見直しは、同病棟の「サブアキュート」機能を強め、手術が必要な状態の患者の受け入れを促すためのものだ。
地域包括ケア病棟協会は8月22-31日、今年春の改定の影響などを調べるため、地域包括ケア病棟を持つ会員病院の実態調査を実施。地域包括ケア病棟から退院・転棟した1132症例について調べ、同協会のホームページで「中間報告」として結果を公表している。
それによると、入院中に手術を行い、その報酬を入院料と別に出来高算定したのは80症例(7.1%)で、そのほかに70症例(6.2%)で「短期滞在手術」を実施していた。入院中に「短期滞在手術」を実施した患者には原則、地域包括ケア病棟の入院料を算定できない。
改定後、「サブアキュート」の割合に変化
また同協会が、地域包括ケア病棟の機能別の症例数を調べたところ、分類できない20症例を除く1112症例のうち、「ポストアキュート」は706症例(63.5%)、「サブアキュート」は137症例(12.3%)だった。
昨年秋の状況を調べた前回の会員調査で、「ポストアキュート」の割合が68.8%、「サブアキュート」の割合が9.9%だったのと比べると、今年春の改定後、「サブアキュート」機能がより発揮されていると言えそうだ。
また今回の調査では、入院患者に対して看護職員数が手厚い看護配置「10対1」以上の一般病棟がある病院と、そうでない病院とに分けて、地域包括ケア病棟の機能別の症例数を集計している。その結果、「10対1」以上の病棟がある病院は、「ポストアキュート」の割合が71.4%で最も高く、「サブアキュート」は6.6%だった。これに対し、「10対1」以上の病棟がない病院では、「サブアキュート」(34.6%)が「ポストアキュート」(32.9%)を上回った。
出典:医療介護CBニュース