マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
2015年度の国立大学病院の決算概要が発表されました。平均在院日数の短縮により増収。人件費や医薬品への支出は増えましたが、設備投資費が減少しています。
全部で44の病院の合計収支差額は約24億円の黒字でした。2014年の収支は赤字約71億円だったので、約95億円の収支改善がされたことになります。しかし一方で、病院が必要な診療機器の更新を先送りしているだけで、このままでは大学病院としての高度医療ができなくなるという指摘も受けています。
国立大学附属病院長会議はこのほど、2015年度の国立大病院の決算概要を公表した。回答した44病院の合計の収支差額は約24億円の黒字となり、約71億円の赤字だった14年度に比べて約95億円の収支改善が図られた。一方、14年度の診療報酬改定の影響などによって診療機器の取得額は減少傾向にあり、十分な設備投資が難しい状況が浮き彫りになった。【松村秀士】
44病院の15年度決算は、平均在院日数の短縮が進んだことに伴う診療単価の増加などにより病院収入が約1兆216億円(前年度比4.4%増)、運営費交付金は約1114億円(同4.0%減)などとなり、総収入は約1兆1529億円(同3.8%増)だった。
一方、人件費は研修医や看護職員の増加などによって約4268億円(同3.3%増)、医薬品や診療材料などの医療費は約4190億円(同5.6%増)などとなり、総支出は約1兆1505億円(同2.9%増)で、収支差額は約24億円の黒字だった。
ただ、14年度の診療報酬改定や消費税率8%への引き上げの影響などに伴い、各病院では設備投資費が減少しているのが現状だ。15年度の診療機器の取得などに掛かった費用は14年度に比べて9.1%減の441億円となり、13年度の658億円をピークに連続して減少した。
「大学病院の使命果たせなくなる」―山本氏

7日に開かれたプレスセミナーで、同会議の山本修一・常置委員長(千葉大医学部附属病院長)は、「各病院は必要な診療機器の更新を先送りしているのが現状で、このような状況が続くと、高度医療という大学病院の重要な使命が果たせなくなる」と危機感をあらわにした。
出典:医療介護CBニュース