マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
フランス料理などで使われる野生鳥獣の肉(ジビエ)は、シカ・イノシシ・ノウサギなどが有名です。食通が喜ぶ美味ですが、広まるにつれ、それが原因のE型肝炎も増えています。国立感染症研究所によると、E型肝炎の患者数が今年はすでに過去最多の215人となっています。内訳は北海道と首都圏が最多です。
加熱不十分なジビエ肉などを食べて15―50日の潜伏期間の後、腹痛や食欲不振といった消化器症状を伴う急性肝炎を発症しますが、高齢者や乳幼児、妊婦などは特に症状が重篤化しやすいので、注意が必要です。
ウイルスに汚染された野生鳥獣の肉(ジビエ)などを摂取して急性肝炎を起こすE型肝炎の患者数が過去最多となったことが12日、国立感染症研究所がまとめた患者報告で分かった。北海道と首都圏からの報告が全体の6割超を占めている。患者の報告があった自治体では、食肉の十分な加熱に加え、野生鳥獣の肉を生で食べることをやめるよう呼び掛けている。【新井哉】
E型肝炎はウイルス性の急性肝炎で、ウイルスに汚染された食物や水を摂取することで感染。15―50日の潜伏期間の後、腹痛や食欲不振といった消化器症状を伴う急性肝炎を発症する。野生のイノシシやシカなどの生肉、加熱が不十分な肉が感染源と疑われるケースも少なくない。
同研究所によると、今年の患者報告数(3日時点)は215人。4類感染症として感染症発生動向調査の対象となった2003年11月以降、年間で最多を記録した昨年の報告数(212人)を上回っている。
都道府県別では、北海道が70人で最も多く、以下は東京(26人)、神奈川(16人)、群馬(11人)、埼玉と千葉(共に10人)、茨城と新潟(共に6人)などの順だった。
高齢者や乳幼児などハイリスクグループは重篤化の恐れも
患者の報告が相次いでいる北海道では、自治体が注意喚起に懸命だ。北海道オホーツク総合振興局は、焼き肉店やバーベキューで生肉を焼いて食べる際は、「生肉専用のとりばしやトングを使い、十分に火が通っているのを確認してから食べるように」と注意を促している。また、高齢者や乳幼児、妊婦、免疫力が低下している人などの「ハイリスクグループ」は症状が重篤化する恐れがあるとしている。
イノシシやシカなどの野生鳥獣について、厚生労働省は「E型肝炎ウイルスのほか、どのような病原体を保有しているか分からないことから、生で食べるのは危険」としている。
出典:医療介護CBニュース