マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
どこの病院でどんながん医療をやっているかは、患者さんも医師も知りたい重要な情報ですね。16日、厚生労働省は患者さんが簡単に拠点病院を検索し、がん治療の情報を手に入れられるシステムを提案しました。 がんの種類や病期、住んでいる都道府県を入力して検索すると、該当する各拠点病院での、1.医師や認定看護師・患者の数 2.手術の件数や方法 3.医療スタッフの職種別内訳、などが表示される仕組みです。 委員からは「医師の細かい内訳が見たい」、「標準医療以外の治療選択肢も求められている」といった意見も出ました。
厚生労働省は16日に開いた「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」で、がん医療に関する情報提供の方法について提案した。患者や家族らがウェブサイトで、がんの種類や病期などを指定して検索すると、該当するがん診療連携拠点病院(拠点病院)の診療実績や医療スタッフ数などが一覧で表示される仕組みを想定している。【松村秀士】
がん医療の情報提供については、既に国立がん研究センター(国がん)がん対策情報センターが、運営するウェブサイト「がん情報サービス」で患者や家族、医療関係者らに対し、がんの種類や診断・治療法、最新の統計などに関する情報を提供している。しかし、がん医療に関するより詳細な情報を求める声が根強くあり、多くの患者や家族、医療関係者らが必要な情報を入手するのが難しいのが現状だという。
こうした状況を踏まえ、厚労省が昨年12月に公表した「がん対策加速化プラン」では、集中的に実行すべき具体策の1つとして、「患者や家族が必要とする情報を簡単に検索でき、医療施設同士の比較も可能なシステムを構築し、広報・周知する」とされた。
16日の会合で厚労省は、患者らがより簡易に拠点病院を検索できるシステムを提案。具体的には、患者や家族らが国がんのウェブサイトで、がんの種類や病期、住んでいる都道府県を入力して検索すると、該当する各拠点病院での、▽医師や認定看護師、患者の数▽手術の件数や方法▽医療スタッフの職種別内訳―などが表示される仕組み。厚労省では、来年6月の閣議決定を目指す次期がん対策推進基本計画の策定を待たずに、この情報提供システムの運用開始を予定している。

意見交換では、厚労省が示した情報提供システムについて、今村聡委員(日本医師会副会長)が、「医師に関しては、もう少し細かい内訳(専門領域)が分かる仕組みにしていただきたい」と要望。北川雄光委員(慶大医学部教授)は、「標準治療に当てはまらない治療の情報も患者から求められている」とし、手術や化学療法、放射線治療以外の治療方法に関する情報の提供を求めた。このほか、職種別内訳の中に、心理的な問題を抱える患者への相談や支援などを行う臨床心理士を含めるべきとの声もあった。これらの意見に対し、厚労省の担当者は、前向きに検討するとの考えを示した。
出典:医療介護CBニュース