マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
改正精神保健福祉法は2013年に施行されましたが、それ以前は精神障害者に治療を受けさせる義務が家族にありました。しかしその後も家族らの同意が必要な「医療保護入院」という仕組みは残され、家族の合意により精神障害者本人が治療を望まなくても強制が可能であるような形で存在しています。
日本精神神経学会の緊急要望では、非自発的入院について「家族等合意」の廃止を検討するよう求め、国や自治体の責任を明確にすることを求めています。
日本精神神経学会は、精神保健指定医の診察や家族らの同意が必要な医療保護入院について、精神科医療のあり方を議論している厚生労働省の検討会の分科会で、「家族等合意」の廃止を検討するよう求める緊急要望を公表した。【新井哉】
2013年に改正された精神保健福祉法が施行されるまでは、精神障害者に治療を受けさせる義務が家族にあった。緊急要望では、その時の改正に触れ、「医療保護入院決定における家族等合意が残され、あたかも家族の合意によって強制力の発動が可能であるかのようなあいまいさが残された」としている。
分科会で議論している医療保護入院の移送や入院の手続き、退院の促進などについては、「いずれも重要な課題」と認める一方、決定する主体の明確化の問題が取り上げられていないことに危惧を抱いているという。
緊急要望では、医療保護入院を当事者の意思によらない強制的な制度と指摘。「私人」は強制力の執行者になり得ないとして、国や自治体の責任を明確化する必要性を挙げている。
また、前回の法改正の際、衆参両院の附帯決議で、非自発的入院における国や自治体の責任を検討するよう求めていたことにも言及。人権擁護の観点から次の法改正で国や自治体の責任を最重要課題とし、家族等合意の廃止を検討するよう要望している。
出典:医療介護CBニュース