マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
国立感染症研究所から、日本国内でアメーバ赤痢の患者数が過去最多ペースで増えているという報告が発表されました。アメーバ赤痢は腸管寄生性原虫の感染で起き、下痢や腹部痛の腸管アメーバ症と高熱・嘔吐が多い腸管外アメーバ症に大別されますが、東京、大阪など都市部での感染が目立っています。感染症法の5類全数把握疾患に定められており、届出は義務。経口に加え、性的接触などでも感染します。
腸管寄生性原虫の感染で引き起こされる「アメーバ赤痢」の患者数が、過去最多を記録した2014年と同じペースで増えていることが7日、国立感染症研究所がまとめた患者報告で分かった。今年の1週間当たりの報告数の平均値は、14年を若干上回っている。都道府県別では東京が最も多く、首都圏や大阪など都市部からの報告が目立っている。【新井哉】
アメーバ赤痢は、赤痢アメーバの感染に起因する疾患。下痢やイチゴゼリー状の粘血便、排泄時の腹部痛を伴う腸管アメーバ症と、腸管部から転移し、高熱(38―40度)、嘔吐、体重減少、全身倦怠感などを伴う腸管外アメーバ症に大別される。
感染症法の5類全数把握疾患に定められており、医療機関からの届け出が義務付けられている。経口に加え、性的接触などでも感染する。男性の同性愛者間で流行するアメーバ赤痢は性感染症であることが多く、梅毒やHIV、B型肝炎などを合併していることが少なくないという。近年は女性の性的感染が増えているとの報告もある。
アメーバ赤痢の全国の患者報告数は、感染症発生動向調査事業が始まった1999年は276人だった。しかし、2000年以降は増加傾向が続き、13年には初めて1000人台を突破。14年には過去最多の1134人を記録した。昨年も2番目に多い1095人だった。
今年の患者報告数(5月29日時点)は473人で、昨年と14年の同じ時期の報告数を上回っている。都道府県別では、東京が最多の83人。以下は大阪(46人)、神奈川(41人)、千葉と愛知(共に27人)、埼玉(25人)、北海道(21人)、兵庫(20人)、福岡(17人)、静岡(10人)などの順だった。
出典:医療介護CBニュース