マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
日本病院会(日病)のアンケート調査によると、病院で働く勤務医数の地域偏在が過去5年間で拡大していることが明らかになりました。
前回2013年に実施した調査と比べて、政令指定都市や中核市などでは常勤の医師の数が増加。しかし、郡部・町村では減少したとの回答が前回の倍以上となる4割超に達しました。この5年間で人口が少ない地域ほど勤務医が減少、さまざまな努力に関わらず、都市と地方の差が広がっています。
調査は昨年10月1日-11月20日、日病の会員2431病院を対象に実施し、664病院から回答を得た。このうち、政令指定都市や中核市などの「都市部」が323病院で最も多く、「その他の市」は301病院、「郡部・町村」は40病院。病床規模別では、300床未満の病院が半数超を占め、6割近くが一般病棟7対1入院基本料を算定している。

「5年前と比較して常勤医が増加したか」との質問では、「増加した」が55%に上り、前回調査から3ポイント微増した。だが、これを所在地別で見ると、都市部は65%(前回比9ポイント増)だったのに対し、その他の市は48%(同1ポイント減)、郡部・町村は28%(同18ポイント減)で、人口が少ない地域ほど下がる傾向が見られた。
一方、「減少した」と回答した病院は、都市部では11%(同6ポイント減)と減少したものの、その他の市が30%(同5ポイント増)、郡部・町村が43%(同25ポイント増)だった。
勤務医不足を解消させるため、どのような政策を支持するか尋ねたところ(複数回答)、「総合診療医の育成」が全体の80%に上り、以下は「地域枠入学の活用」(73%)、「医師の計画配置」(70%)などと続いた。
地域医療委員会委員長の塩谷泰一常任理事(高松市病院事業管理者)は、「さまざまな施策が行われてきたが、勤務医の偏在は解消どころか拡大している」と指摘。地域枠に関しては、「義務年限や赴任病院など、大学によって運用ルールが異なる。基準をある程度統一してほしい」と話している。
出典:医療介護CBニュース