マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
専門医については、昭和37年の麻酔学会から始まり各学会がそれぞれ基準を設け、各科の専門医を養成して来ましたが、「専門医の在り方に関する検討会」を経て第三者機関の「日本専門医機構」が専門医の統一基準を示し、認定・更新をすることになりました。
本来今年度4月から新制度への移行を目指していましたが、新基準を守ると研修施設が都市部の大病院に集中し、医師の偏在が決定的になるとの指摘があいつぎ、機構側が運用を延期して制度の再設計に着手しています。
今回機構側は新専門医制度についての「Q&A」をウェブサイト上で公開しました。
国民全体向けの「専門医とは」という質問から、受け入れ連携施設といった細かい質問についてまで、わかりやすく網羅されています。
日本専門医機構(吉村博邦理事長)は18日までに、新専門医制度に関する「Q&A」をホームページで公表した。これまで問い合わせの多かった事項などを取り上げており、「専門医とは、どんな医師をいうのでしょうか?」といった基本的な質問から、専門医を目指す専攻医を受け入れる連携施設に関することまで幅広く説明している。【新井哉】
従来の専門医制度では、学会がそれぞれ基準を設けて専門医を養成してきたが、新制度では機構が第三者機関として統一の基準を示すことで、専門医の質の担保を図る。機構は当初、今年度から統一の基準で養成をスタートさせる予定だったが、基準が厳し過ぎ、研修施設が都市部の大病院などに偏るといった懸念が医療界から示されたため、制度の再設計に着手。昨年12月に新たな整備指針を策定していた。
今回公表した「Q&A」は、新制度への理解を深めてもらう狙いがある。これから専門医を目指す医師が知りたい項目だけでなく、医療を受ける国民の目線で疑問に思うことも視野に入れて作成したという。
例えば、「新しい仕組みがなぜ必要なのでしょうか?」との問いには、各学会の専門医認定基準が統一されておらず、制度間のばらつきが大きいことなどを挙げ、「医師の質の一層の向上を目指すことを目的として、仕組みを見直すことになった」と説明。妊娠や出産、介護などで研修を中断する場合はどうなるのかといった質問には、6カ月以内の中断であれば、「残りの期間に必要な症例等を埋め合わせることで研修期間の延長を要しない」としている。
また、専攻医が都市部に集中することを防ぐための措置について、都市部(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)は、原則として過去5年間の都市部の専門医の採用実績の平均値を超えないようにすると整備指針の運用細則で定めたことを説明。連携施設についても、指導医が施設に在籍していない場合でも、テレビ会議を開催したり、定期的に指導医が訪問指導したりすれば、「研修が可能」との見解を示している。
出典:医療介護CBニュース