マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
夏には必ずと言っていいほど増えるヘルパンギーナが西日本で流行が本格化、東京近辺でも感染が広がっています。6月27日から7月3日までの週の報告では、都内で警報基準値を上回る地域が続出しました。ヘルパンギーナはせきやつばに含まれるウイルスで感染し、乳幼児が罹患するケースが多いです。2-7日の潜伏期間後、38度以上の発熱や口腔内に水疱が現れ、2-4日で熱が下がりますが、脱水のほか熱性けいれんや髄膜炎、心筋炎といった合併症を生じる可能性があるので注意が必要です。
「夏かぜ」の代表的な疾患で、高熱や口腔内の水疱などを伴うヘルパンギーナが首都圏でも流行の兆しを見せている。東京や神奈川など4都県がまとめた6月27日から7月3日までの週の患者報告によると、都内で警報基準値を上回る地域が続出したほか、埼玉県で8週連続、神奈川県でも5週連続で患者が増えた。前週比で2倍超になった千葉県は「夏季に乳幼児を中心に流行するため、今後の発生状況に注意が必要」としている。【新井哉】
都内は中央区で警報値の3倍近い患者報告数に
6月27日から7月3日までの週の小児科定点医療機関当たりの患者報告数は、埼玉県が前週比74%増の1.69人、東京都が同43%増の2.33人、神奈川県が同12%増の2.26人。千葉県では前週に比べて2.5倍の1.74人となった。
感染の拡大に伴い、東京都内では警報基準値(6.0人)に達する保健所管内が出てきた。中央区で警報基準値の3倍近い16.0人となったほか、台東(8.5人)や江東(6.44人)、みなと(6.0人)でも患者報告数が多かった。
埼玉県でも草加保健所管内で警報基準値に近い5.7人を記録。同県は、外出後の手洗いやうがいの徹底に加え、体調がすぐれない時は、医療機関に電話で相談し、早目に受診するよう呼び掛けている。
神奈川県では、横須賀市(5.0人)や鎌倉保健福祉事務所管内(4.33人)で多くなっているという。千葉県内では16保健所のうち11保健所の管内で増加し、船橋市(3.64人)や習志野(3.5人)などで患者が目立っている。
西日本では流行本格化、愛媛と徳島で警報値上回る
西日本では流行が本格化している。「ヘルパンギーナ警報」を発令中の鳥取県は、県内全域で患者報告数が増加したと指摘。この週は、愛媛県(7.41人)と徳島県(6.39人)で警報基準値を超えた。徳島県は「報告数は前週の約1.5倍に増加し、過去5年間で最も多い報告数」としている。
大阪府は前週比36%増の4.72人。府感染症情報センターは「南河内(7.19人)、大阪市北部(6.86人)、北河内(6.07人)と、3ブロックで警報レベル開始基準値(6.0人)を超えていた」と説明している。大阪府と隣接する和歌山県でも前週比51%増の5.81人を記録。和歌山市保健所管内(10.11人)で警報基準値を上回っており、同県は「過去5年間の同時期に比べかなり多い状況」と警戒を強めている。
ヘルパンギーナは、高熱や口腔内の水疱・発赤を主症状とするウイルス性疾患で、乳幼児が罹患するケースが多い。2-7日の潜伏期間後、38度以上の発熱や口腔内に水疱が現れる。2-4日で熱が下がり、7日程度で治癒する。
熱や口腔内の痛みで食事や水分を十分に取れず、脱水になるほか、熱性けいれんや髄膜炎、心筋炎といった合併症を生じる可能性がある。患者のせきや、つばなどに含まれるウイルスによって感染する。
出典:医療介護CBニュース