マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
エーザイが今年1月に申請していたアルツハイマー病(AD)治療薬「レカネマブ」について、8月21日、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会が国内での製造販売を承認することを了承。レカネマブは、アミロイドβの脳内異常蓄積がADの原因の1つとする「アミロイドβ仮説」に沿い、エーザイが米バイオジェンと共同開発した抗アミロイドβプロトフィブリル抗体です。
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は8月21日、エーザイが今年1月に申請していたアルツハイマー病(AD)治療薬レカネマブ(商品名:レケンビ点滴静注200mg、同点滴静注500mg)について、国内での製造販売を承認することを了承した。厚労省は速やかに承認手続きを進める意向。
レカネマブは、アミロイドβの脳内異常蓄積がADの原因の1つとする「アミロイドβ仮説」に沿って、エーザイが米バイオジェンと共同開発した抗アミロイドβプロトフィブリル抗体。
ドネペジルなど従来の抗認知症薬は、症状緩和を目的とした症状改善薬であるのに対し、レカネマブは、ADの疾患進行を抑制する疾患修飾薬。適応症は「ADによる軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制」、用法・用量は「10㎎/kgを2週間に1回、約1時間かけて点滴静注」と記載される予定。
医薬品第一部会の審議では、医薬品リスク管理計画(RMP)、市販直後調査、全数調査を承認条件とすることとなった。最適使用推進ガイドライン作成対象医薬品とされているため、薬価収載までにガイドラインが作成される予定。
■薬価設定や検査・診断体制が課題
レカネマブは今年7月、世界に先駆けて米国FDA(米国食品医薬品局)が正式承認。エーザイ幹部は、大規模グローバル臨床第3相試験(Clarity AD)で、プラセボと比較して臨床症状の悪化を27%抑制するなどのデータが明確に示されていることから、9月までの日本での承認にも自信を示していた。
レカネマブの米国での販売価格は年間2万6500ドル(約380万円)とされ、日本での薬価も高額となることが予想されており、今後は中医協での薬価設定の議論が焦点となる。
また、レカネマブを使用するにはアミロイドPET検査や脳脊髄液(CSF)検査でアミロイドβの蓄積を確認する必要があり、早期AD診断の体制整備も課題とされている。
出典:Web医事新報