マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
12月5日、社会保障審議会医療部会は、「かかりつけ医機能」の制度整備について議論しました。その中で厚労省の提示した具体案が、医師・患者間で新たな契約関係が生じるような誤解を与える可能性があると指摘を受け、内容を一部修正しました。
社会保障審議会医療部会は12月5日、前回に引き続き、「かかりつけ医機能」の制度整備について議論した。厚生労働省は前回の部会に提示した具体案で、医師による書面交付や説明を通じて「かかりつけの関係」を確認する仕組みの導入を打ち出していた。ただ、医師・患者間で新たな契約関係が生じるような誤解を与える可能性があるため、書面交付によってかかりつけ医機能として提供する医療の内容を説明すると、内容を一部修正した。
かかりつけ医機能の制度整備に関する厚労省案は、(1)「かかりつけ医機能報告制度」の創設、(2)医療機能情報提供制度の情報提供項目を患者・国民にわかりやすい内容に見直す、(3)患者と医療機関が「かかりつけの関係」であることを確認できる仕組みの導入―が主な柱。
このうち(3)は当初、医師が継続的な医学管理が必要とされる患者に対して、患者が希望する場合に、書面交付と説明を通じて、患者と医療機関がかかりつけの関係を確認できるようにするとしていた。だが、前回の部会ではこの案に対して「医師と患者間でまったく新しい契約関係が生じるのか」といった質問が出たため、対象患者や書面交付の枠組みは維持したまま、「医療機関が書面交付などにより、かかりつけ医機能として提供する医療の内容を説明する」と内容を一部修正した。
また書面のイメージ例として、「生活習慣病指導管理料」の算定時に作成する「療養計画書」や、「地域包括診療料」「認知症地域包括診療料」の算定時に使用する患者向け説明書と同意書を提示した。
■希望者全員に書面が交付される仕組みに見直しを―河本健保連専務理事
議論で河本滋史委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「医師が判断した患者しか手を上げられないのであれば、全世代型社会保障構築会議が求めている医師・患者それぞれの手上げ方式とは言えない。国民・患者が希望した場合は書面交付を受けられるようにするべきだ」と対象患者の拡大を要請。書面の記載内容では神野正博委員(全日本病院協会副会長)が、「入退院時の支援や入院機能がない場合はどこと連携するのかなど、より具体的にイメージできるような書面がいいのではないか」と指摘した。
出典:Web医事新報