マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
10月27日、厚労省は「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」に、医師偏在の新指標の速報値を示しました。2016年の医師偏在指標と比べると、都道府県、二次医療圏単位ともに最大値と最小値の差や標準偏差が増加しています。この結果から今後、医師確保計画の着実な実施を求める必要があるとしています。
厚生労働省は10月27日の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(WG)」に、これまでの議論を踏まえた新しい医師偏在指標の算出結果(速報値)を示した。2016年の医師数がベースの現行の医師偏在指標と比べると、都道府県、二次医療圏単位とも、最大値と最小値の差や標準偏差が増加。医師の偏在の広がりを示唆する結果となり、同省は「今後の医師確保計画の着実な実施が求められる」としている。
新指標はこれまでの議論で確認された、▶医師・歯科医師・薬剤師統計(三師統計)で従たる従事先を記載している医師は主たる従事先では0.8人、従たる従事先では0.2人として算出、▶受療率のデータには新型コロナウイルス感染症の影響が少ない17年の患者調査を用いる―などの方針を反映させる形で算出。ただし、労働時間比や患者流出入数は最新データを用いていないため、今後、結果が変動する可能性がある。
新指標と現行指標(旧指標)の算出結果を比較すると、都道府県では6県(構成比13%)、二次医療圏では42区域(13%)で、医師多数区域が中程度区域に変わるなどの区分を跨ぐ変動があった。さらに、▶都道府県単位、二次医療圏単位のいずれにおいても平均値・中央値が増加していることから、全体的に医師偏在指標そのものは増加している、▶都道府県単位、二次医療圏単位とも最大値と最小値の差、標準偏差が増加している―こともわかった。
■産科医師偏在指標は分娩取扱医師偏在指標に名称と定義を変更
産科と小児科の医師偏在指標の速報値も報告され、新旧指標の比較で区分を跨ぐ変動は、▶産科で都道府県10県(21%)/二次医療圏42区域(15%)、▶小児科で都道府県4県(9%)/二次医療圏49区域(16%)―だった。なお、「産科医師偏在指標」は日常的に分娩を取り扱っている医師のみを対象に算出し、名称を「分娩取扱医師偏在指標」に変更することが決まっている。
また、同日のWGでは「医師確保計画の見直しに向けた意見のとりまとめ(案)」が大筋で了承された。医師少数スポットを原則として市町村単位で設定することや、医師少数区域で計画開始時点にすでに目標医師数を達成してしまっている地域についても一定数までは医師を増やせるようにする見直しなどを行う。
出典:Web医事新報