マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
エピジェネティクス・幹細胞学の研究で知られる仲野徹阪大病理学教授が、この3月末で定年を迎えられます。3月14日、仲野教授は阪大医学部で最終講義(定年記念講演)を行い、「おもろく有意義に生きるための7つのヒント」を同僚・後輩・学生らに贈りました。「『私の人生は成功』と言うほど自己肯定感は強くないが、振り返ってみて、自分の能力と努力に比べると、相対的にはかなり成功したのではないかと思っている」と述べ、関係者・仲間への謝意を表した。講義の模様はオンラインで配信され、録画は3月末までYouTubeでも視聴できます。
エピジェネティクス・幹細胞学の研究で知られ、日本医事新報誌上で「ええ加減でいきまっせ!」を連載中の仲野徹阪大病理学教授が3月末で定年を迎える。仲野教授は3月14日、阪大医学部で最終講義(定年記念講演)を行い、「おもろく有意義に生きるための7つのヒント」を同僚・後輩・学生らに贈った。講義はオンラインでも配信。講義の録画は3月末までYouTubeで視聴できる。

「おもろい人生、その途上にて─研究だけが人生か」と題して行われた講義の前半では、阪大医学部の北村幸彦研究室、ドイツ・ハイデルベルクのヨーロッパ分子生物学研究所(EMBL)のThomas Graf研究室、京大医学部の本庶佑研究室、阪大微研での研究生活を振り返り、「北村先生からは『研究をいかに安く上げるか』という『経営』を、EMBLのThomas Graf教授からは『科学』を、本庶先生からは科学の『王道』を学んだ」と恩師への思いを語った。
2018年にノーベル医学生理学賞を受賞する本庶教授(当時)との出会いにも触れ、「(EMBLで研究している時に)『本庶先生が助手で来ないかと言っている』というファックスが来た。これは青天の霹靂だった。本庶先生の研究室は『トップクラスの研究室』ではなく『トップの研究室』。まさか呼んでもらえると思ってなかった。その時、本庶先生がハイデルベルクに来られ、ネッカー川のほとりのホテルで2時間くらい熱くサイエンスを語っていただき、『私は死ぬまでこの人についていこう』と思った。でも、帰国してから本当に死ぬほどつらい目が待ち受けているとは夢にも思っていなかった」と聴衆の笑いを誘った。
■「複数の師匠を持て」「アウェイに出よ」
「おもろく有意義に生きるための7つのヒント」について語った講義の後半では、「1人の師だけにつくと、どうしても茶坊主みたいになってしまう人が多い」「阪大医学部の学生は関連病院に勤める人が多いが、『外へ出て行け』といつも言っている。(私も)京大へ行って非常につらかったけれど、5年くらい経つといろいろ知り合いも増え、新しい世界が広がっていく」などと述べ、「複数の(すぐれた)師匠に師事すること」や「アウェイに出る勇気を持つこと」を勧めた。
最後に、米国の思想家エマーソンの言葉「あなたがここに住んでいたおかげで、ある人がより平安に生きられるようになったと知ること。それが成功というものなのだ」を紹介しながら、「『私の人生は成功』と言うほど自己肯定感は強くないが、振り返ってみて、自分の能力と努力に比べると、相対的にはかなり成功したのではないかと思っている」と述べ、関係者・仲間への謝意を表した。

※仲野教授最終講義のYouTube動画はこちら(検索する場合は「仲野徹 最終講義」で動画検索)
■最終講義のスライドより




出典: Web医事新報