マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
2022年度診療報酬改定の議論が進められています。7月7日に行われた中央社会保険医療協議会総会では、診療側は基本診療料への加算をはじめとする新型コロナウイルス感染症対応の特例措置の恒久化などを要望する一方、支払側からは反対意見もありました。反対の理由として、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「今後も継続していくのであれば、きちんとエビデンスを蓄積して議論するべきであり、安易な恒久化や基本診療料の加算の継続は否定したい」としています。
中央社会保険医療協議会総会は7月7日、2022年度診療報酬改定に向けた一巡目の議論を開始した。初回となったこの日は、「コロナ・感染症対応」と「外来医療」をテーマに意見交換した。感染症対応で診療側は、基本診療料への加算をはじめとする新型コロナウイルス感染症対応の特例措置の恒久化などを要望。支払側からは反対意見もあった。
厚労省は、「コロナ・感染症対応」の論点として、▶現行の特例措置の効果検証等も踏まえつつ、今後の新型コロナ対策のあり方について、どのように考えるか、▶第8次医療計画に向けた検討状況も踏まえつつ、新型コロナをはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組について、どのように考えるか―の2項目を総会に示した。
■基本診療料への加算の特例、包括化も含め検討を―診療側
議論で、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、医療機関は、新型コロナ収束後も人的・物的コストを投じて感染症対策を講じていく必要に迫られていると指摘。その上で、現在の新型コロナ対応の特例について、▶基本診療料への加算(初・再診時に5点を加算など)や乳幼児の外来診療時の評価(初・再診時に100点を加算)は基本診療料への包括も視野に評価を継続する、▶コロナ疑い患者の外来診療時の「院内トリアージ実施料」や中等症以上の感染患者を受入れた場合の「救急医療管理加算」算定の特例、「ハイケアユニット入院医療管理料」などの届出手続きの簡素化などは感染症対策として恒久化することを検討する―などを求めた。
今年9月まで期限が延長されている20年度改定の経過措置(「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合の引き上げや、施設基準における年間実績要件など)の再延長を求める意見もあった。
診療側の要望に、支払側委員の多くは一定の理解を示し、これまでの特例措置の効果検証などを条件に議論に応じる姿勢を見せたが、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「基本診療料の引き上げと感染症防止策の恒久化には明確に反対したい」と反発。いずれも持ち回り開催や政府の予算過程など、中医協で議論を尽くすことなく決まった措置だと問題視し、「今後も継続していくのであれば、きちんとエビデンスを蓄積して議論するべきであり、安易な恒久化や基本診療料の加算の継続は否定したい」と述べた。
■9月に一巡目の議論での「意見の整理」を取りまとめ
また、同日の総会では、一巡目の議論のテーマとして、医科では、▶コロナ・感染症対応、▶外来、▶入院、▶在宅、▶働き方改革の推進、▶不妊治療の保険適用、▶医薬品の適切な使用の推進―を取り上げることが了承された。今後、個別テーマごとに論点整理を進め、9月を目途に「意見の整理」をまとめる。その後は、より個別・具体的な検討を深める二巡目の議論に入る予定。
出典:Web医事新報