マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
新型コロナウイルス収束の鍵となるワクチン開発の最新情報です。英アストラゼネカがオックスフォード大とともに開発を進める新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の日本国内での第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験が開始されました。18歳以上の約250人の被験者を対象に治験が実施されており、日本人に接種した際の安全性と有効性を評価するとしています。同ワクチンの開発に成功した場合、1.2億回分のワクチン供給を受けることでアストラゼネカと厚労省は基本合意しており、治験の結果が注目されます。[以下、9月9日15時追記]英アストラゼネカは、同ワクチンの臨床試験において参加者の1人に原因不明とみられる疾患を認めたため、治験を中断したことを明らかにしました。アストラゼネカ日本法人の広報担当者は、日本での治験も中断する方針を示しています。
アストラゼネカは9月4日、英国本社がオックスフォード大と開発中の新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」について、日本国内での第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始したと発表した。
国内の複数の施設で18歳以上の被験者約250人を対象に治験を実施。日本人に接種した際の安全性と有効性を評価する。
厚生労働省は、「AZD1222」の開発に成功した場合、2021年初頭から1.2億回分のワクチンの供給(うち3000万回分は3月までに供給)を受けることでアストラゼネカと基本合意しており、治験の結果が注目される。
「AZD1222」の治験は世界各国で進められており、現在、南アフリカで第Ⅰ/Ⅱ相試験、英国で第Ⅱ/Ⅲ相試験、ブラジル・米国で第Ⅲ相試験が実施されている。
■ヤンセンも日本で第Ⅰ相試験開始
新型コロナウイルスワクチンに関しては、ヤンセンファーマも9月1日、ワクチン候補「Ad26.COV2.S」について日本国内での第Ⅰ相臨床試験を開始したと発表。20~55歳の健康な成人と65歳以上の高齢者、計250人を対象に治験を実施し、安全性、反応原性、免疫原性の評価を行うとしている。
「Ad26.COV2.S」は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマ(本社:ベルギー)が開発を進めているワクチン。ヒトを対象とした第Ⅰ/Ⅱa相試験が7月から米国とベルギーで実施されており、9月中に第Ⅲ相試験に移行する見込み。オランダ、スペイン、ドイツでの第Ⅱa相試験も予定されている。
「AZD1222」と「Ad26.COV2.S」はいずれもアデノウイルスを利用したウイルスベクターワクチン。
出典:Web医事新報