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医師の平均年収はどのくらい?【経営母体別】【都道府県別】【診療科別】【年代別】ランキング

平均年収と比べて自分の年収が多いのか少ないのか、気になる方もいるのではないでしょうか。医師の年収は経営母体や診療科によって大きな差があります。この記事では年収の統計データを参考に、【経営母体別】【診療科別】【年代別】に医師の平均年収を確認するとともに、年収アップのためにできることを考えます。

こんな方におすすめの記事です!

  • 医療法人の年収事情や病院長の収入に興味がある方。
  • 診療科別の年収傾向や手術を行う診療科の特徴を知りたい方。
  • 自身の年収に不満を感じ、キャリア変更を考えている方。

目次

【経営母体別】医師の平均年収ランキング

医師として一緒に働いていても、同僚の年収を知る機会は意外と少ないものです。自分の年収が、医師の平均年収とどの程度違うのか、気になる人もいることでしょう。一般的に医師は年収が高いと認識されていますが、実際は経営母体や地域、診療科によって大きく異なります。

会社員の平均年収よりはるかに高い年収の医師がいる一方で、ほとんど変わらない年収の医師もいます。今回は、医師の年収の目安として、【経営母体別】【診療科別】【年代別】に平均額を見ていくとともに、年収アップのためにできることを考えてみましょう。

医師が働く職場は、同じ病院であっても医療法人なのか、国公立かで状況が異なります。中央社会保険医療協議会が2019年に実施した「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」(数値は2018年度のもの)に基づいて、経営母体別の平均年収を、役職ごとにランキングでまとめました。

ここで指す年収とは、扶養手当、時間外勤務手当、役付手当、通勤手当等を含んだ平均給料年度額に加えて、賞与を加えた平均です。

■【経営母体別】病院長の年収ランキング

経営母体年収(万円)
1位医療法人3,042.3
2位その他2,489.9
3位公的2,241.4
4位社会保険関係法人2,152.7
5位公立2,131.4
6位国立1,918.3

■【経営母体別】勤務医の年収ランキング

経営母体年収(万円)
1位医療法人1,640.7
2位個人1,597.3
3位公立1,513.9
4位社会保険関係法人1,469.1
5位公的1,433.0
6位国立1,431.9
7位その他1,419.6

※経営母体の例
・国立:国、独立行政法人国立病院機構、国立大学法人、独立行政法人労働者健康安全機構、国立高度専門医療研究センター、独立行政法人地域医療機能推進機構
・公立:都道府県立、市町村立、地方独立行政法人立病院
・公的:日赤、済生会、北海道社会事業協会、厚生連、国民健康保険団体連合会
・社会保険関係法人:健康保険組合及びその連合会、共済組合及びその連合会、国民健康保険組合
・その他:公益法人、学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、社会医療法人、その他の法人など
※小数点第2位以下は切り捨て

(中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査[医療機関等調査]」2019年をもとに作成)

経営母体別に平均年収の多い順にランキングにすると、病院長・勤務医ともに、医療法人がトップであることがわかります。ただし、2位以降については、役職によってランキングが変わります。勤務医の場合には、2位が個人病院で、続く3位は公立病院となっています。一方で、病院長の場合には、2位はその他法人となり、3位は公的病院となっています。

勤務医の年収を経営母体別に見ると、1位の医療法人と7位のその他の医療機関は200万円程度の差がありますが、勤務医の場合はそれほど大きな差ではないといえるのではないでしょうか。

病院長の場合、医療法人では年収3,000万円を超えるなど、勤務医はもちろん他の経営母体と比較してもはるかに高収入であることがわかります。また「その他」の経営母体には公益法人、学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、社会医療法人などが含まれますが、勤務医の平均年収は他の経営母体よりも低い一方で病院長の平均年収は比較的高く、役職によって平均年収の差が大きいという特徴があります。

【診療科別】医師の平均年収ランキング

一般的に、内科系の医師より外科系の医師の方が高収入というイメージを持つ人が多いかもしれません。実際のところ、診療科ごとに医師の年収差はあるのでしょうか。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2011年に行った「勤務医の就労実態と意識に関する調査」で診療科ごとの平均年収が公表されています。診療科ごとの平均年収ランキングを見てみましょう。

■診療科別・平均年収ランキング

診療科平均年収(万円)
1位脳神経外科1,480.3
2位産科・婦人科1,466.3
3位外科1,374.2
4位麻酔科1,335.2
5位整形外科1,289.9
6位呼吸器科・消化器科・循環器科1,267.2
7位内科1,247.4
8位精神科1,230.2
9位小児科1,220.5
10位救急科1,215.3
11位その他1,171.5
12位放射線科1,103.3
13位眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科1,078.7

(独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年をもとに作成)

調査結果によると、診療科別のトップは脳神経外科の1,480.3万円でした。脳神経外科、外科、整形外科を筆頭に、上位は外科系の診療科が占めていることが分かります。やはり、内科系よりは外科系の方が医師の平均年収は高い傾向にあるようです。

外科系の診療科の年収が高い要因として、労働時間の長さが関係していることが考えられます。外科医は術後の急変や緊急手術などに備えて当直やオンコール対応があるケースが大半であるため、時間外労働の長さに比例して給与が高くなっている傾向があります。また専門性の高い知識や技術、スキルの習得が重要な診療科であるため、技量の高さが評価されて好条件で迎えられている医師もいます。

【年代別】医師の平均年収ランキング

前述した通り、医師の年収は年齢によっても大きく異なります。続けて、厚生労働省の調査に基づき、年代ごとの医師の年収について見てみましょう。

■[年代・男女別]平均年収

男性女性
年齢年収(万円)年齢年収(万円)
20~24歳474.4820~24歳435.75
25~29歳751.7325~29歳638.95
30~34歳952.3630~34歳1,008.44
35~39歳1,197.2535~39歳1,011.19
40~44歳1,340.4340~44歳1,184.82
45~49歳1,572.1445~49歳1,309.63
50~54歳1,704.2750~54歳1,640.64
55~59歳1,744.7255~59歳1,463.93
60~64歳1,826.3460~64歳1,205.14
65~69歳1,609.4265~69歳1,399.92
70歳~1,506.8470歳~990.35

※年収は「きまって支給する現金給付額」×12カ月分+「年間賞与その他特別給与額」の計算式にて算出しています。

(厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」をもとに作成)

男性医師は20代から50代前半にかけては5年区切りの年代が上がるごとに約200万円ずつ増加し、その後は60~64歳をピークに下降しています。60~64歳の年収が最も高くなっているのは重要な役職に就くことが多い年代であることが要因として推測されます。

女性医師も年代が上がるごとに平均年収が上がる傾向が見られるものの、出産や子育てを迎える医師が多い30代~40代前半にかけては年収の増加幅がそれほど大きくありません。その後50~54歳で年収のピークを迎え、以降は下落していくようです。

いずれの年代においても男性医師のほうが女性医師よりも年収が高い傾向があります。この背景には、男性医師の方が女性医師より人数が多いことに加え、出産や子育てなどによるライフスタイルへの影響が比較的少ないため臨床現場にいる期間が長くなり、結果として役職につきやすい人数が多くなっている現状があると考えられます。

医師が年収アップを目指すときにできること

ここまでご紹介してきたいずれのデータを見ても、2,000万円を超える年収を得ている勤務医はごく一部であることがわかります。現在の年収に満足していない医師がさらなる年収アップを目指すためには、どうすればよいのでしょうか。ここでは年収アップのためにできることについて考えてみましょう。

4-1.非常勤勤務(アルバイト)を始める

年収アップを目指すとき、常勤先とは別の医療機関で非常勤勤務(アルバイト)を始める方法があります。医師の非常勤勤務(アルバイト)には、週に数回ペースや隔週ペースで同じ勤務先で働く「定期非常勤」と毎回異なる勤務先で1回限りの勤務をする「スポット」の2種類があります。

常勤先の勤務形態やプライベート時間とのバランスを考えて、働きやすい非常勤勤務(アルバイト)先を探してみましょう。

4-2.医師に人気の非常勤勤務(アルバイト)とは

医師のアルバイトとして人気なのが、健康診断やコンタクト外来です。求人数が豊富であり、自分の予定に合わせて日程調整ができるところや肉体的・精神的な負担が少ない点が人気の理由でしょう。健康診断のアルバイトは東京で日給8万円程度、医師不足の傾向がある地域では、日給10万円程度になることもあるようです()。

4-3.高収入を得やすい非常勤(アルバイト)求人の特徴

体力的なハードさも多少はいとわない場合やより症例経験を積みたい若手医師の場合は、臨床現場での非常勤勤務(アルバイト)もおすすめです。医師不足に悩んでいる地域や、当直やオンコールが条件となっている求人は日給が高くなる傾向にあります。

年収が増える以外にも他の病院の雰囲気を知ることができたり、さまざまな症例の経験ができたりするといったメリットがあります。年齢の若い医師ほど、非常勤勤務(アルバイト)をするメリットは大きいでしょう。ただし、こうしたアルバイト先は即戦力が求められます。

また専門医や指導医の資格をもつ医師は、好条件で迎えられる傾向があります。

4-4. 複数の非常勤を掛け持ちする医師も

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2011年に行った「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、複数の勤務先に勤める医師の月収平均は1ヶ所目(主たる勤務先)が88.2万円、2ヶ所目は22.4万円、3ヶ所目が13.8万円、4ヶ所目が9.5万円とされています。

やや古いデータではありますが、主たる勤務先での勤務に加え、非常勤勤務(アルバイト)を1ヶ所にて毎月同じペースで行うと想定した場合、月収が22.4万円アップ、年収では268.8万円アップすることが期待されます。

4-5.転職も視野に入れる

現在の勤務環境によっては非常勤勤務(アルバイト)をする余裕をもてないこともあるでしょう。そのような場合には、転職によって年収アップをかなえることも一案です。本記事でご紹介したように、医療機関の経営母体や地域によって年収は大きく変わりますので、年収水準の希望がある場合は転職エージェントを利用するのがおすすめです。前もって希望条件を伝えておくと条件に合った求人が出てきた際に連絡をもらえます。

医師として納得できる年収を得るために

医師の年収の統計データから、医師の年収水準は経営母体・診療科・年齢・性別などの要素によって異なることがわかりました。年収に不満を感じているのであれば、非常勤勤務(アルバイト)や転職で年収アップを図ることも可能です。自身が納得できる年収を目指して、働き方を見直してみてはいかがでしょうか。

※本稿で紹介した給与額は求人情報をもとにした概算値であり、サイト内に掲載されている求人の報酬額を確約するものではありません。条件に合致する求人が見つからない場合はマイナビDOCTORへお問い合わせください。

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参考URL
中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」
厚生労働省「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

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