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医師の起業が増えている背景や理由とは?実際の起業例や起業する際のポイントを紹介

医師の働き方は多様化し、近年では、医師の資格や経験を活かして起業するケースが増えています。これまで、医師の独立といえばクリニックの開業などが主流でしたが、新たなキャリアとして起業を目指す選択肢も広がります。本記事では、医師の起業が増えている背景や理由とともに、実際の起業例や起業する際のポイントを紹介します。

こんな方におすすめの記事です!

  • 医師としてのキャリアを広げ、起業といった新しい働き方に興味がある
  • 他の医師がどのように起業しているのか、具体的な事例を知りたい
  • 起業のポイントや準備方法を押さえ、将来的なキャリア選択の幅を広げたい

目次

医師の起業が増えている理由

なぜ、今、医師の起業が増えているのでしょうか。その背景や理由を解説します。

経験を活かして、医療現場の改善に尽力できる

医療現場には、今もなお、非効率な業務が多く残っています。現場の課題を解決する手段として、医療コンサルやシステムの開発などに携わる医師が増えています。日々、臨床の第一線で働く医師だからこそ、診療業務の効率化につながる仕組みや技術に気づき、その改善アイデアをもとに起業へと発展するケースが見られます。

働き方のロールモデルの変化

働き方の多様化が進む今、専門職である医師も例外ではありません。かつては、医療機関(臨床)や研究、教育現場などで活躍するキャリアが一般的でしたが、昨今では、民間企業でも医師の資格を活かせる場が広がっています。

そうしたなか、より自由度の高い働き方を求め、自身が目指すサービスや技術を形にするため、起業を選ぶ医師もいます。働き方が変化したことで、起業も選択肢のひとつになったといえるでしょう。

技術の進歩により新しい分野に参入しやすくなった

IT技術の進歩により、AI(人工知能)などの最新技術を個人でも扱えるようになりました。そうした技術を活用した医師の起業例も増えています。近年では、スマートウォッチといったウェアラブルデバイスも普及し、ヘルスケアサービスやオンライン診療、遠隔治療ができるツールなども活用しやすくなりました。

もちろん、医師の起業分野はテクノロジー領域に限りません。地域医療や医療教育、在宅医療支援など、自ら現場の課題を解決したい思いから、起業につながるケースも多く見られます。たとえば、医療従事者の働き方改革を支援するコンサルティングや、子育て世代の健康支援・ウェルビーイングをテーマにした事業など、医師の知識と経験を活かした多様な起業の形が選択できるようになりました。また、ソフトウェアやシステム開発のハードルが下がったことで、医師も新しい分野に参入しやすくなっています。

医師が起業した事業の例

実際にどのような活躍が見られるのでしょうか。医師が起業した事業の例を紹介します。

現場の医師が、専門医に無料相談できるサービスの提供(株式会社Medii)

難病を患っている医師が創業したスタートアップ企業「株式会社Medii」は、医師が診断や治療方針に悩んだときに、オンラインで専門医に無料相談できる医師向けのプラットフォーム「Medii Eコンサル」を提供しています。

本サービスは、創業者が医師として診療業務にあたるなかで、医師間における経験・知識量の差や、難病を診断できる医師が少ないことに対して問題意識を感じ、起業に至っています。

オンラインで、どこからでもエキスパート専門医へ相談できるだけでなく、AIによる迅速な情報収集ができるプラットフォームを無料で提供。また、製薬会社向けソリューション事業も展開し、早期診断と治療の最適化に貢献しています。

病児保育室の予約ができるサービスの提供(株式会社グッドバトン)

産婦人科医が創業した、病児保育ならびに産後ケアのオンラインサービスです。スマホを使って、病児保育や産後ケアの予約サービスが手軽にできるプラットフォーム「あずかるこちゃん」を運営しています。

病児保育施設の利用は、一般的に施設を探す手間があるうえ、事前登録や電話予約といった手続きが必要ですが、緊急時には利用しづらい一面があります。

「あずかるこちゃん」は、面倒な手続きをオンライン化し、24時間、いつでも地域に登録された病児保育室を予約できます。さらに、産後ケアとして、助産師などの専門知識スタッフに育児の相談ができる仕組みも用意されています。自治体によっては、助産師への相談なども費用補助が受けられるため、子育て世代にとって使いやすいサービスとなっています。

医師が起業に向いている理由

起業は、自身が求める働き方や、やりがいを実現できる手段のひとつです。加えて、医師は起業に向いているとされています。では、なぜ、医師が起業に向いているのでしょうか。代表的なポイントを解説します。

高い専門性や経験を事業に活かせる

医師が持つ専門性の高い知識や経験は、医療領域だけでなく、関連する業界でのビジネス創出につながります。診察や手術などは医師の独占業務であり、医師だからこそ感じる現場の課題に気づけます。現場の経験を活かして、問題解決につながるサービスが事業として発展させやすい点で医師は起業に向いています。

また、医療は日進月歩の世界であり、常に自己研鑽が求められます。医師国家試験に合格し、さまざまな難関を乗り越えている高い学習能力や自己管理能力、論理的思考などは、ビジネス分野でも活用できるスキルです。

社会的信用度が高い

医師免許は、数ある国家資格のなかでも難易度の高い資格であり、「医師」という職業に対する社会的信用も高い傾向にあります。そのため、周囲の関係者(投資家、パートナー企業、銀行、不動産、顧客など)からの信用を得やすく、融資や支援も獲得しやすいと考えられます。また、社会的な信頼度の高さにより、自治体や国へのアプローチも進めやすく、可能性が広がります。

加えて、医療領域での起業であれば、医師が代表を務めること自体が信頼につながります。自身の専門性にあった事業展開にすれば、それまでの人脈も活用できるでしょう。

起業に失敗しても、医師の仕事に復帰できる

医師免許は生涯有効で、意欲があれば何歳でも現場に戻れます。仮に、起業がうまくいかなかったとしても、専門職である医師のニーズはあります。臨床でのブランクが長くなると不安になるかもしれませんが、復帰を支援する仕組みも広がっており、再スタートの道が閉ざされることはないでしょう。

起業直後で資金難になったとしても、アルバイトや非常勤と並行して収入を確保する方法もあります。現場から離れると、専門医資格などのキャリア中断が考えられますが、再就職しやすいという点では、起業のハードルが低いといえます。

医師が起業する際のポイント

医師としての経験を活かした事業をするには事前準備は欠かせません。医師が起業する際の心構えとしてポイントを解説します。

ビジョンを明確にする

起業するうえで、「自身は何ができるのか」「どのような経験があるのか」などの自己分析が必要です。自身の経歴や強みを明確にし、そのうえで目標を立て、ビジョンを明確にすることが重要です。

たとえば、「〇〇で困った経験があり、もっとよいサービスを作りたいと思ったから起業した」という原体験が、事業の根源となります。継続的に世の中に広めるうえでも、長期的な視点でのビジョンが必要です。

起業の準備時間を確保する

起業を検討している場合、今現在の働き方を見直す必要があるでしょう。週5日の常勤に加え、当直、オンコール対応などを担っていると、事業アイデアが浮かんでも、実現する体力や時間の余裕を確保するのは難しいかもしれません。起業を決めたなら、起業準備の時間を捻出することが大切です。

たとえば、週5日の常勤を週3日の非常勤に切り替える、定時退勤しやすい職場に転職するなどの方法があります。時間を確保することで、焦らずに起業の準備に取り掛かれるでしょう。

経営の知識を身につける

起業をすれば、代表として経営的な判断が求められるようになります。起業した医師のなかには、MBA(経営学修士)を取得したり、一般企業で一定期間働いたりしたケースもあります。経営に関する専門家を雇う方法もありますが、少なからず起業において最低限のビジネス知識は必要です。起業準備と並行して、ビジネスやマネジメントの基礎を学んでおくと安心です。

資金の使い道を明確に決める

起業し、安定した経営を続けるには一定の資金が必要です。ただ闇雲に資金を使用すると、あっという間に底が尽きてしまいます。まずは、起業を前提として、どの程度の資金があるのか、どの程度の初期費用と運転資金が必要なのかを計算しましょう。そのうえで、融資を検討することになります。起業前から資金の使い道を明確に決めることが、無駄のない資金繰りにつながります。

自分の考えやビジョンを発信し、仲間を集める

起業し、事業規模を拡大するには、信頼できる仲間が必要です。仲間を集めるには、自身が起業するにあたっての考えやビジョンを、積極的に周囲へ発信するといいでしょう。自身の思いに共感する仲間と出会うことで、一人では実現が難しいような規模の大きいビジネスにも挑戦しやすくなります。

副業から始めてみる

起業をするために、いきなり今の仕事を手放すのはリスクがあるかもしれません。起業のアイデアがあるとしても、まずは今の仕事を続けながら、副業から始めるのもひとつの方法です。

生活の基盤となる収入は本業で維持しつつ、休日にビジネスを学んだり、アルバイトを行ったりして起業に備えれば、リスク軽減につながるだけでなく、資金確保にも役立ちます。

医師の働き方の可能性が広がっている

医師の働き方は、従来の「臨床・研究」といった枠を超え、社会の仕組みそのものを変えていく段階に来ています。ITやAIの進歩による背景もありますが、本質は「現場で感じた課題を、自らの力で解決する」動きの広がりだといえるでしょう。医師は社会的信用度が高く、仲間集めや資金集めにも優位に働きやすいため、起業に向いています。また、医師の起業は、医療業界の発展にも大きく貢献すると期待されています。

ただし、ビジネス経験のない医師が、いきなり起業するのはリスクもあります。まずは、副業や経営知識を学ぶ機会を得るところから、小さく始めてみるといいでしょう。医師としての経験を活かしながら、自分らしい医療の形や働き方を実現してみてはいかがでしょうか。

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記事の監修者

小池 雅美(こいけ・まさみ)

小池 雅美(こいけ・まさみ)

医師。こいけ診療所院長。1994年、東海大学医学部卒業。日本医学放射線学会・放射線診断専門医・検診マンモグラフィ読影認定医・漢方専門医。放射線の読影を元にした望診術および漢方を中心に、栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。女性特有の疾患や小児・児童に対する具体的な実践方法をアドバイスし、多くの医療関係者や患者さんから人気を集めている。

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