診療科にもよりますが、医師不足を課題としている医療機関が多い今、医師の転職先は比較的見つかりやすいとされています。しかしいざ転職しようとしても、スムーズに転職活動が進まずに悩む医師も少なくありません。

まずは医師が転職でつまずく5つのポイントを見ていきましょう。

転職は希望しているものの、そもそも転職する方法が分からないと悩んでいると、転職に踏み出せない場合があります。

特に初めての転職の場合、「環境を変えたい」「医局を出たい」「転科したい」と考えていても、どのように転職先を探せば良いのか分からないという方は少なくありません。また転職先に求める環境や人間関係、待遇などは漠然とあるものの、まだ考えがまとまっていないケースもあるでしょう。

このような場合は効率良く転職する方法を知り、まずご自身が転職でどのような姿を目指したいのか方向性を検討することが大切です。

キャリアプランが決まらないのも、医師が転職でつまずくポイントのひとつです。

医師のキャリアには以下のようにさまざまな選択肢があります。

●臨床医を続ける
●専門性を高める
●開業医になる
●研究に専念する
●医系技官などの完了を目指す
●医療関連会社で働く
●医療関連で起業する
●企業の専属産業医になる
●国際機関で働く

例えば臨床医を続ける場合でも、常勤で働くケースやフリーランスになるケース、副業として続けるケースなどキャリアプランは人それぞれです。どの方向で進んでいくのかを考えなければご自身に合う転職先を見つけるのは難しいですが、日々の仕事に追われ、「なかなかキャリアプランを考える時間がない」という方も少なくありません。

ある程度の方向性が決まっていても、転職活動をする時間が十分に取れず、転職につまずいてしまう方も多いです。

日々の業務を行いながら、求人探しや応募、面接などを進めていくのは、体力的にも精神的にも負担が大きくなります。仕事と並行して転職活動を行おうとしても時間が確保できず、いつの間にか時間がたってしまって、転職を諦めるケースも少なくありません。

希望する条件の仕事が見つからないことも、医師が転職につまずいてしまうポイントです。

どのような条件を希望するのかにもよりますが、条件によっては全てを満たす転職先を見つけるのは難しいかもしれません。効率良く自分に合う転職先を見つけるには、譲れない条件、妥協できる条件を洗い出し、優先順位を決めて転職先探しをすることが大切です。

全ての希望条件を満たす転職先を探そうとすると転職活動が長引いてしまいやすく、どんどんモチベーションが下がって、転職自体を諦めてしまう可能性が高くなってしまいます。

現在の職場から引き止められて、転職につまずいてしまう方もいます。

転職をする場合、スムーズに退職ができるように余裕を持って現在の職場へ退職の意向を伝えるケースが多いです。しかし退職の意向を伝えたことで引き止めに遭い、好条件の働き方や年俸などを提案されて、気持ちが揺らいでしまうケースも少なくありません。また少なからず高圧的な引き止めに遭ってしまう可能性もあります。

どのような場合でも転職は本人の自由ですが、円満退職を強く希望している場合、引き止めに遭ったことで転職に躊躇してしまう方もいるようです。

前述したように医師の転職にはいくつかのつまずきポイントがあり、「本当に転職すべきなのか」「何がベストな選択か分からない」と悩んでしまう医師も少なくありません。

医師が転職活動に悩んだ時、誰に相談すれば適切なアドバイスやサポートが受けられるのでしょうか。ここからは、医師が相談すべき相手をご紹介します。

医師が転職活動につまずいてしまった時には、転職経験のある医師に相談するのがおすすめです。すでに転職した経験があり、さまざまな課題をクリアして現在のキャリアを築いている医師なら、ご自身の転職活動の参考になる意見や役立つアドバイスをもらえる可能性が高いでしょう。

ただし転職経験がある医師でも、現職の上司や同僚に相談するのは避けるべきです。万が一「転職を考えているらしい」といううわさが広がってしまうと、円満退職を目指せなくなるなど何らかのトラブルにつながってしまう可能性があります。

相談する際は、現職とのつながりがほぼない環境に身を置いている医師に相談するようにしましょう。将来的に出産・育児を考えているなら子育て経験がある医師に相談するなど、ご自身のキャリアプランやライフプランと似ている医師に相談すると、より役立つアドバイスをもらえる可能性が高いです。

ご家族がいる場合は家族、特にパートナーに相談することも大切です。

転職をすると、家族にも少なからず影響が出てきます。それにもかかわらず、パートナーの意見を聞かずに転職を進めてしまうと、信頼関係に亀裂が生まれてしまう可能性が高いです。

転職を考えた時点で相談することも大切ですが、スムーズな転職をサポートしてもらうには、日頃からどのようなキャリアプランやライフプランを考えているのか、些細なことでもしっかりと話すように心掛けておきましょう。体力的にも精神的にも少なからず負担がかかる転職活動を進める上で、家族からのサポートが受けられず、転職に否定的な姿勢を取られると、思うように転職活動ができなくなってしまうかもしれません。

現職が親族に関係する医療機関の場合や、将来親族の経営する医療機関を継ぐ場合などは、適切なタイミングで関係者に転職の意向や転職する旨を伝え、不要なトラブルを避けるように段取りを組んでおくことも大切です。

2-2-1.引っ越し・転校が必要な場合は子どもにも配慮する

お子さまがいる場合で、引っ越しや転校を伴う転職を予定している場合は、お子さまにも配慮しましょう。

環境が突然大きく変わってしまうと、お子さまも不安やストレスが大きくなります。「最初は嫌がるかもしれないけれど、そのうち慣れるだろう」とお子さまへの配慮が十分にできていないと、メンタルに影響してしまうかもしれません。

引っ越しや転校が必要になる場合は、お子さまの声にもしっかり耳を傾け、気持ちに寄り添ってあげることが大切です。お子さまが引っ越しや転校に後ろ向きな場合は、「新しいお友だちがいっぱいできるね」「引っ越したら◯◯をしよう」など、お子さまの気持ちが前向きになるような声掛けをしてあげてください。また引っ越し後もお子さまの様子を気にかけ、必要なフォローをしてあげることが大切です。

転職を始めるのなら、転職サイトにも登録しましょう。

転職サイトはWeb上に求人情報を掲載しているサービスです。医師に特化した転職サイトも多くあるため、一般的な転職サイトではなく医師に特化した転職サイトを選ぶと良いでしょう。

転職サイトはあくまで求人情報を掲載しているサイトなので、直接相談することはできませんが、転職を希望する医師が知っておくべき情報やよくある質問をまとめているサイト、転職サイトを通して転職を成功させた医師の声を紹介しているサイトも多いです。転職に悩んだ時に役立つ情報が得られるので、ぜひ登録して活用してみてください。

医師が転職する際は、転職エージェントに相談するのもひとつの方法です。

転職経験がある医師に相談したいと思っても、「適切な相談相手がいない」という方もいるのではないでしょうか。多くの転職をサポートしている転職エージェントなら、これまでの転職サポート経験を活かし、客観的にアドバイスをしてくれます。転職サイト同様、医師に特化した転職エージェントは多くあるので、医師に特化したエージェントを探してみましょう。

医師に特化した転職エージェントは多くの医療機関とのつながりを持っており、医療業界にも精通しているため、希望条件を満たす転職先が見つけやすいです。基本的に無料で利用できるので、転職するならぜひ転職エージェントに相談してみてください。

こちらでは医師が転職エージェントを活用している実態についてまとめています。転職エージェント活用のイメージがつかめない方は、ぜひ参考にしてみてください。

20,000以上の法人と取引のある医師専門の転職支援サービス「マイナビDOCTOR」では、病院への転職相談会をはじめとしたさまざまな転職サポートを行っています。医師専任のキャリアパートナーが転職の成功をサポートしますので、ぜひこちらから相談会にお申し込みください。

参考：マイナビDOCTOR「トップページ」

転職サイトにも転職エージェントにも医師に特化したサービスがありますが、そもそも両者にはどのような違いがあるのでしょうか。転職サイトと転職エージェントの違いや、それぞれのメリットをご紹介します。

前述した通り、転職サイトはWeb上に求人情報を掲載しているサービスです。掲載求人を自由に閲覧できますが、基本的に応募や選考は転職を希望する医師自身が行わなくてはなりません。

一方、転職エージェントは専属のエージェントやコンサルタントと転職を希望される方が対話を進めながら、転職に必要なサポートを受けられるサービスです。単に転職先を紹介してもらえるだけでなく、転職に関するさまざまな相談をしながら、選考や年俸の交渉なども支援してもらえます。一般公開されている求人だけでなく、非公開求人を持っている転職エージェントも多いです。

ただし両者の違いは明確ではなく、最近は転職サイトの中にも専属コンサルタントがいたり選考や交渉の支援を行ったりしているサービスもあります。

転職サイトのメリットは、ご自身のペースで転職活動が進められることです。

好きなタイミングで求人を探して応募できるので、マイペースに転職活動ができます。まだ転職の意思が明確に固まっていない場合でも、転職サイトを利用すれば転職に関する情報を効率的に集められるでしょう。

転職エージェントのメリットは求人探しから転職が完結するまで、手厚いサポートを受けられることです。転職活動のスタート段階からサポートしてくれるため、初めての転職にも向いています。

適切な相談相手がいない方でも、多くの同じような悩みを持つ医師の転職をサポートしてきた転職エージェントに相談すれば、適切なアドバイスが受けられるでしょう。条件を伝えれば、非公開求人を含めた豊富な求人の中から希望条件とマッチする転職先を見つけてくれるので、転職活動にかかる時間も節約できます。医療機関の内情にも精通しているため、事前に職場環境に関する情報も得やすいです。

最後に医師が転職に成功するための2つのコツをご紹介します。

転職を成功させるためには、まず転職の目的やご自身の希望条件を明確にしましょう。

目的や条件が明確でないまま転職活動を始めても、方向性が定まらず、効率の悪い転職活動になってしまいます。転職を通してどのようなキャリアプランやライフプランを実現したいのかを考え、希望条件を洗い出しましょう。洗い出した希望条件に優先順位を付けておくと、スムーズな転職活動が行いやすいです。

転職活動は焦らず計画的に続けることを意識しましょう。

「早く転職したい」と焦ってしまうかもしれませんが、何事も準備は大切です。スムーズに転職先を見つけ、現職を円満に退職するために、まずは転職希望時期から逆算してスケジュールを立ててみましょう。退職までにかかる期間はケースバイケースなので、ご自身の置かれている状況を踏まえ、余裕を持った計画を立てることが大切です。

医師専門転職支援サービス「マイナビDOCTOR」では、専任のキャリアパートナーがお悩みのご相談から求人のご提案、交渉までしっかりサポートします。転職を検討している方は、お気軽に無料転職サポートにお申し込みください。

参考URL
医師は転職エージェントをどう活用しているのか？【実態調査】｜マイナビDOCTOR
病院への転職相談会｜マイナビDOCTOR