医師の現場と働き方「非常勤医師」編|マイナビ【DOCTOR】

医師の現場と働き方

02「非常勤医師」編

一般企業に正社員、契約社員、パート・アルバイトなどの雇用形態があるように、病院で働く勤務医の雇用形態も①一つの病院・クリニックなどに所属してそこで働く「常勤医師」と、②所属している医療機関はなく、決まった曜日や一日単位で職務を受け持つ「非常勤医師」に大別されます。

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働き方・転職動向

働き方は「定期非常勤」と「スポット非常勤」の2種類

非常勤医師とは、健康保険法で常勤医師として認められる「一日8時間程度の勤務でかつ一週間32時間、週に4日勤務」以外の勤務形態で働く医師のこと。2015年の日本医師会総合政策研究機構「病院における必要医師数調査結果」によると、医師全体の非常勤の占める割合は18.4%となっており、医師全体の約 5分の1が非常勤として勤務していることがわかります。

非常勤医師にも2種類の働き方があり、週1日や2日など勤務日を決めて、定期的に勤務する「定期非常勤」と、特定の日に決められた職務のみをこなす「スポット非常勤」に分けられます。定期非常勤は、病院側の医師がたりない曜日や医師が少ない科に配置されるケースが多く、スポットは、当直(夜間勤務)や健康診断での問診、インフルエンザのワクチン注射など、一日単位での契約となります。

では次に、非常勤医師の働き方について紹介していきましょう。

勤務時間は1週間あたり平均27時間

2006年の厚生労働省「医師需給に係る医師の勤務状況調査」によると、非常勤の1週間あたりの勤務時間は全体で平均27.0時間となっています。

日勤だけでなく午前のみ、午後のみ、当直のみと幅広い選択肢から勤務時間帯を選ぶことができるのが特徴で、とくに内科系の外来、病棟管理業務や小児科は勤務日については週1、週2など、自分のライフスタイルにあわせて選ぶことができます。そのため、子育て中の女性医師が 週2~3日などの複数日勤務を希望するケースも増えており、2015年の日本医師会総合政策研究機構「日本医師会 病院における必要医師数調査結果」によれば、女性の非常勤が医師全体の24.0%を占めています。

また、最近では企業で従業員の健康管理を行う産業医のニーズが高まっていますが、こちらの非常勤求人は、週1日から月1回の勤務と、勤務日数が少ないのが特徴です。

非常勤の割合が高い診療科ベスト3は「内科系」「全科」「皮膚科」

常勤医師の割合は全診療科平均で82%です。常勤の割合が高いほど、非常勤医が対応しにくい科となっています。そのため求人も少ない傾向にあります。常勤の割合が高い診療科ベスト3は「産科」「心臓血管外科」「臨床検査科」となっており、非常勤割合が高い診療科ベスト3は「内科系」(内科、心療内科)、「全科」(総合診療部など)、「皮膚科」となっています。皮膚科は女性医師の割合が高い傾向にあります。

定期非常勤の募集を見てみると、内科や整形外科の外来がもっとも多く、職務内容は外来、病棟管理など多岐にわたります。訪問診療の募集も増加傾向にあり、居宅訪問では胃瘻や人工呼吸器などのスキルがある外科系の医師、施設訪問ではコミュニケーション能力に長けた内科医が求められるケースが多くなっています。

一方、スポット非常勤は内科の一般外来が定番です。募集の多い職務としては健診・人間ドックが挙げられ、春と秋は、とくに募集が増える傾向にあります。募集の数は少ないものの、ライブ会場やイベント大会場に帯同するなどのユニークな求人があるのも、スポット非常勤の特徴といえるでしょう。

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非常勤医師の平均年収

都心より郊外のほうが時給相場は高め
定期・スポット非常勤 平均時給1万円前後

非常勤医師の給与は、時給または日給制。関東エリアを例にとると、人気の高い東京23区や横浜市は時給1万円が相場とされています。患者さんに対する医師数で地域間の格差のある北関東エリアや、東京から少し離れた南関東エリアは、1万円〜1万5000円とやや高め。科目では診療報酬が高い整形外科や居宅への訪問診療が好待遇になる傾向にあります。

なお、勤務先の規定上で兼業が許されていれば、常勤医師が非常勤を掛け持ちできるのも非常勤の特徴(公立病院は公務員の扱いとなるため副業は不可となります)。常勤先の研究日を非常勤に当てたり、大学などで研究や教育に従事しながら非常勤の仕事をこなしたりすることで、収入アップを図る常勤医師も意外に少なくありません。

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即戦力として常勤医の負担を軽減! 仕事内容

各医療施設で常勤医の手が回らない部分をカバーすることや、医師が不足しているエリアにおいて常勤医の負担を軽減させることなどが非常勤医師の大きな役割。したがって、非常勤医師には「即戦力としてのスキルの高さ」が求められることになります。

ライフスタイルに合わせた勤務形態の選択が可能 メリット・デメリット

「ライフスタイル重視の勤務」という点ではメリットが多い非常勤ですが、待遇面などに目を向けると決してメリットばかりではありません。非常勤医師で働くメリットとデメリットをまとめてみましょう。

メリット
  • 自分のライフスタイルにあわせて勤務時間や勤務場所を選択できる。
  • 残業が発生しにくいため、精神的・体力的なストレスが少ない。
  • 常勤と非常勤との掛け持ちもできるため、収入アップが見込める。
  • 複数の職場で働くことでさまざまなスタッフや患者さんと出会えるため、人脈を広げることができる。
デメリット
  • 健康保険や厚生年金などは自分で支払う必要があり、確定申告も自分で行わなければならない。
  • 通常は各種手当が付かない。
  • 非常勤のみで働く場合、自分の専門を極めることが難しくなる。
  • 常勤との掛け持ちの場合、休日が減りプライベートな時間が少なくなる。
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非常勤の男女構成比―男性17%、女性24% 業界状況

日本医師会総合政策研究機構「病院における必要医師数調査結果」によると、現員医師の勤務形態別内訳は、フルタイム 80.3%、短時間正規雇用 1.3%、非常勤 18.4%です。男性の内訳を見てみると、フルタイム 82.2%、短時間正規雇用 0.8%、非常勤 17.0%となっており、女性は、フルタイム 72.7%、短時間正規雇用 3.2%、非常勤24.0%です。
必要求人倍率の高い診療科はリハビリテーション科、救急科、全科。求人はしてないものの医師を必要としている科で倍率が高いのは、リハビリテーション科、救急科、産科、心療内科、病理診断科となっています。また、歯科、歯科口腔外科、矯正歯科は、必要求人医師数倍率、必要医師数倍率ともに低い傾向となっています。
都道府県別で必要求人医師数倍率が高かったのは、福井県、秋田県、静岡県です。

診療科別 必要求人医師数・必要医師数倍率(上位)
必要求人医師数倍率
現員医師数(人) 倍率(倍)
美容外科 27 1.15
リハビリテーション科 1,429 1.14
救急科 2,282 1.10
全科 1,962 1.09
感染症内科 227 1.09
気管食道外科 89 1.09
呼吸器内科 3,006 1.09
婦人科 455 1.09
必要医師数倍率
現員医師数(人) 倍率(倍)
リハビリテーション科 1,429 1.227
アレルギー科 129 1.225
救急科 2,282 1.204
産科 388 1.191
感染症内科 227 1.183
婦人科 455 1.177
心療内科 193 1.172
病理診断科 1,194 1.161
都道府県別必要医師数倍率上位
必要求人医師数倍率
現員医師数(人) 倍率(倍)
福井県 810 1.15
秋田県 1,302 1.14
静岡県 2,847 1.12
岡山県 2,670 1.11
新潟県 1,193 1.11
山形県 1,133 1.10
島根県 23 1.10
鳥取県 898 1.10
滋賀県 1,293 1.10
和歌山県 918 1.09
必要医師数倍率
現員医師数(人) 倍率(倍)
島根県 780 1.34
福井県 810 1.24
岐阜県 1,666 1.21
徳島県 881 1.20
秋田県 1,302 1.19
香川県 1,023 1.19
新潟県 1,193 1.18
岡山県 2,670 1.18
山梨県 319 1.17
青森県 1,234 1.16
参照:
日本医師会総合政策研究機構「病院における必要医師数調査結果」2.3. 現員医師数(勤務形態)

非常勤をその後のキャリアに役立てる方法 キャリア活用法

以前は、「空き時間を使って収入を補完する手段」として非常勤を掛け持ちする常勤医師がほとんどでしたが、最近では自身のスキルアップをめざして常勤と非常勤を掛け持ちする医師が増えています。非常勤先で症例を積んで専門以外に領域を広げるケース(とくに内視鏡の求人に多く見られます)や、入職を前提に職場を知るケース、開業を視野に入れて開業のノウハウを学ぶケースなどがその典型的な例で、「複数の病院で勤務できる」という非常勤のスタイルを生かして、戦略的にキャリアを構築しているわけです。
もちろん、子育てや介護などで休職中の医師が非常勤でスキルを確認したり、ワーク・ライフ・バランスを重視した生活を希望する医師が非常勤を組み合わせた働き方を選択したりするケースにおいても、非常勤というスタイルは有効です。どのような生活を希望するのか、医師としてどんなキャリアを形成したいのかなどをふまえて、上手に非常勤という仕組みを活用してください。

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