【医師の年収事情】外科医が高収入なのに満足できない理由|医師の現場と働き方

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【医師の年収事情】外科医が高収入なのに満足できない理由

外科医は、一人前になるまでに多くの経験を積む必要があるといわれています。医師として独り立ちするまでの「修行期間」が長いため、ハードワークのわりに給与水準が低めというイメージもあります。一方で、外科医の働き方は多様になっており、近年ではワークライフバランスを重視しながら高水準の給与を得る外科医も増えてきました。今回は、外科医の働き方と年収事情について解説します。

<この記事のまとめ>
・外科医の平均年収は1,374.2万円であり脳神経外科、産科・婦人科に次いで高水準。
・高収入の要因は、基本給自体の高さや時間外労働やオンコール対応の多さなど。
・ハードな働き方を避ける若手医師確保のため、最近は働き方改革を推進する医療機関が増えている。

1.外科医の年収事情

医師・歯科医師・薬剤師統計」(厚生労働省、2018年)によれば、医療施設に従事する全医師数は31万1,963人であり、そのうち1万3,751人(4.4%)が外科医だということです。この割合は、調査対象となった全診療科の中で内科、整形外科、小児科、精神科などに次いで高く、外科医が特段深刻な不足状態にあるわけではないようです。

しかし、緊急の呼び出しが多いうえに、自己鍛錬のために大きな労力を割く必要があり、しかも患者さんの命に直結する治療を行う場面が多いという点から外科を志望する若手医師の減少が問題となっています。現在でも地方では外科医が不足傾向にあり、高額の報酬を提示して外科医を募集する医療機関もあります。

必要医師数実態調査」(厚生労働省、2010年)によれば、全国で常勤・非常勤を合わせて1,314.7人の増員が必要とされています。とはいえ、求人倍率は1.09倍に過ぎず、全診療科(1.14倍)の中でも低水準です。これは、麻酔科医の不足や外科医の都市部への集中などにより、地方では手術を行う医療機関自体が減っていることが影響していると考えられます。転職を希望する場合、年収の高さを第一条件として考えるのであれば、あえて地方の医療機関に目を向けてみるとよいでしょう。都市部では転職が必ずしもスムーズとは限らないので、専門医資格を取得するとともに、経験した手術件数などのアピールポイントを作っておくと有利です。

勤務医の就労実態と意識に関する調査」(労働政策研究・研修機構、2012年)によれば、外科医の平均年収は1,374.2万円となっています。調査対象となった全診療科の医師の平均年収は1,261.1万円なので、かなり恵まれた報酬を得ていることがわかります。外科より高額の平均年収の診療科は脳神経外科と産科・婦人科のみです。

■診療科別・医師の平均年収

順位 診療科目 平均年収(万円) (計n=2,876)
1 脳神経外科 1,480.3 (n=103)
2 産科・婦人科 1,466.3 (n=130)
3 外科 1,374.2 (n=340)
4 麻酔科 1,335.2 (n=128)
5 整形外科 1,289.9 (n=236)
6 呼吸器科・消化器科・循環器科 1,267.2 (n=304)
7 内科 1,247.4 (n=705)
8 精神科 1,230.2 (n=218)
9 小児科 1,220.5 (n=169)
10 救急科 1,215.3 (n=32)
11 その他 1,171.5 (n=103)
12 放射線科 1,103.3 (n=95)
13 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 1,078.7 (n=313)

(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年をもとに作成)

 

また、外科において最も多い年収帯は1,500~2,000万円未満(39.1%)であり、2,000万円以上を得ている医師も12.1%にのぼります。また、外科医の中で年収1,000万円以上の割合は79.1%となっており、これは脳神経外科(81.6%)に次いで高い水準です。

■外科医の年収階層別の分布

主たる勤務先の年収 割合(%)
300万円未満 2.1
300万円~500万円未満 2.4
500万円~700万円未満 4.7
700万円~1,000万円未満 11.8
1,000万円~1,500万円未満 27.9
1,500万円~2,000万円未満 39.1
2,000万円~ 12.1

(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年をもとに作成)

 

これらのデータから、外科医は「高給取り」であるといえます。これはリスクのある手術を行うという観点から基本給自体が他の診療科より高く設定される場合があることに加え、時間外労働の多さが影響していると考えられます。また、前出の「医師・歯科医師・薬剤師統計」によれば、全医師の平均年齢が49.9歳であるのに対して、外科医の平均年齢は53.2歳と高く、給与水準が高いベテラン層が多いことも一つの要因でしょう。さらに、前述したように外科医不足に悩む地方の医療機関が高額な報酬を提示して外科医を呼び込もうとしていることも拍車をかけていると考えられます。

2.外科医の働き方と給与の特徴

勤務医の就労実態と意識に関する調査」(労働政策研究・研修機構、2012年)によれば、外科医の1週間当たりの平均労働時間は52.5時間となっています。60時間を超える外科医は43.1%にのぼり、調査対象となった全診療科の中で最も高い割合となっています。また、外科医の96.5%はオンコールのある働き方をしており、月4回以上のオンコール対応をしている割合は29%にものぼるとのことです。これをみると、「外科医はハードワーク」というイメージは、その通りだといえるのではないでしょうか。ただし、日当直の回数や当直1回あたりの睡眠時間は全診療科の中で平均的な水準であるため、日当直業務よりも日々の時間外労働やオンコール対応による負荷が大きいことがうかがえます。

同調査の外科医の給与に対する満足度をみると、「満足している」「まあ満足」との回答は38.8%であり、満足寄りの回答割合が平均(40.3%)に比べてやや少なめであることがわかりました。全医師の平均より高い水準の年収を得ているにもかかわらず、満足度がともなっていないということは、ハードワークが給与面で必ずしも報われていないと感じている外科医が多いことが推察されます。

3.外科医とワークライフバランス

ハードな働き方を敬遠する若手医師を確保するべく、外科においても働き方改革を進める医療機関が増えてきています。勤務条件によっては時間外労働や日当直を免除されるケースや外来勤務のみに従事すればOKというケースもあるので、ワークライフバランスを重視したい医師は探してみる価値があるでしょう。

現在高水準の給与を得ていて、給与水準を維持しながら業務の負担を減らしたい医師は、専門医資格の取得や手術件数等アピールポイントを作り基本給の水準を高めたうえで、非常勤をかけ持ちする、という方法もあります。

外科医としてのキャリアや自分に合った働き方を吟味し、ぜひ希望にマッチする職場を見つけてください。

PROFILE

執筆/成田 亜希子(なりた・あきこ) 
 
医師・ライター。2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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