将来的な開業を見越して若いうちから準備を始める医師も少なくないでしょう。数々の医療開業支援を行っている医療経営コンサルタントの平田二朗氏に、開業医の適齢期についてお話を伺いましたので、自身のキャリアプランを立てる際の参考にしてみてください。
開業の適齢期は45歳まで!
開業しようとする医師の年齢は35歳から45歳ぐらいが適齢期となります。なぜその年代なのかというと、ひとつは医師としての修練度、人格形成、今後の医師としての人生をどのように歩んで行くか、岐路に立たされるのがその年齢だからです。もうひとつは、事業資金の問題が関係しています。
開業するとなると大きな事業資金が必要となります。資金を銀行などの金融機関からの借り入れると、返済期間は一般的に10年から20年です。金融機関は65歳ぐらいで返済が終了することを目安に資金を貸し出すので、45歳ぐらいが適齢期となります。
都会地では賃貸の案件で開業し、イニシャルコストを低くして借入額と返済期間を短縮できるパターンがあります。これは、一見良さそうに見えますが、実際は開業した後に賃借料という形で大きなコストを払わなければなりませんし、自己所有の案件でもありませんのでトータルでは、いい選択かどうかは別の判断要素があります。
開業そのものは貯金残高0円でもできる!?
自己所有案件でも、賃貸の案件でも、いずれにしても事業資金は必要です。自己資金は沢山あればあるほど楽になります。しかし、一般的な30代から40代の医師のライフステージを考えると、1千万円台ぐらいの貯金はあるが、家や教育など家族にかかる費用がかさみ、住宅ローンが残っているようなケースが多く、それほどまでの資産はないというのが実状です。そんな状態で開業が出来るのでしょうか?
答えは「できます」。
大きな資産上の負債がなければ何とかなります。それは一般産業の業種と比較すると、かなり優遇されているといえます。しかし、開業も成功するパターンばかりの時代ではなくなり、銀行もきちんと審査するようになりました。地方銀行の場合は、医療の審査開発の専門チームを置く銀行が増えています。都市銀行は、いまだに医療関係の審査は面倒くさいということと、医師という職種があまり一般の常識が通用しないという判断で敬遠しています。
話が最初に戻りますが、どちらにしても自己資金は、あればあったに越したことはないと考えます。しかし、住宅資金などを高い金利で借りているなら、それを解消する方がベターだと思います。金融機関の審査はきちんと総合的に見ますので、見た目だけの貯金残高を求めているわけではありません。当然自己資金があり、その分借入金額が圧縮されるなら、リスクを減らすことになりますので金融機関も歓迎します。
これまでの経験で言えば1千万円程度の自己資金があれば十分です。1銭もなくてもどうにかなりますが、ただしその場合、金融機関に「本当に開業したいという意思があるのか?」ということを疑われる可能性もあります。
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