マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
2020年度の診療報酬改定を巡り、健保連など6団体が、薬価などを含む診療報酬全体でのマイナス改定を加藤厚労相に連名で要請する中、日医の横倉会長が前回を上回る本体の引き上げを主張しました。診療報酬の改定率は近年、前年12月中旬までには決着しており、政府予算案編成の焦点の一つとなります。20年度改定に向けては、意見が真っ二つに分かれる形となっており、横倉会長は「厚労省のデータだと医療分野での賃金の伸びは他産業に比べむしろ低い」と反論しつつ、18年度の0.55%を上回る本体引き上げを主張しています。
日本医師会の横倉義武会長は27日の定例記者会見で、2020年度の診療報酬改定では18年度の0.55%を上回る本体の引き上げが必要だと主張した。一方、健康保険組合連合会など6団体は同日、薬価などを含む診療報酬全体でのマイナス改定を加藤勝信厚生労働相に連名で要請し、20年度改定を巡るさや当てが激しくなっている。【兼松昭夫】
診療報酬の改定率は、近年は見直しが行われる前年の12月中旬までに決着しており、政府予算案の編成に際し、焦点の一つになる。
20年度の報酬改定を巡っては、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が25日に取りまとめた「2020年度予算の編成等に関する建議」の中で、国民の負担を和らげるには医師の人件費などに当たる本体部分の引き下げが20年度には不可欠だと指摘。その上で、薬価・材料価格を含む診療報酬全体で2%台半ば以上のマイナス改定を求めた。
こうした主張は財務省のデータが根拠だが、横倉会長は、厚労省のデータだと医療分野での賃金の伸びは他産業に比べむしろ低いと反論。その上で、医療機関が働き方改革を実現して地域の医療現場を支えられるよう、18年度の0.55%を上回る本体引き上げを主張した。さらに、地域の医療再編などの取り組みを支援するため14年度に創設された地域医療介護総合確保基金などの積み増し財源を20年度予算で確保することも求めた。
一方、健保連や国民健康保険中央会など6団体は、賃金・物価水準と乖離する形で診療報酬本体のプラス改定が近年続いているため、双方に大きな隔たりがあると指摘。薬価・材料費を含む診療報酬全体でのマイナス改定を求めた。薬価などの引き下げ財源は診療報酬本体に充当せず、国民に還元すべきだともくぎを刺した。
「団塊の世代」が75歳以上になり始める22年以降は医療費の急増が見込まれる上、現役世代の人口が急速に減少すると予測されている。そのため6団体は、医療保険制度の安定と持続可能性を高める適正化・効率化の取り組みを「喫緊かつ重要な課題」に位置付けた。
出典: 医療介謹CBニュース