マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
厚労省の有識者検討会におおむね了承されたオンライン診療指針は、まだまだ手探りの段階にあるとして、医師への研修受講の義務付け、緊急避妊薬の遠隔処方を条件付きで容認することなどが盛り込まれる見通しです。厚労省報告によりますと、指針見直しに伴うパブリックコメントのうち全体の9割超を占めたのが「緊急避妊薬」に関するものだったそうです。
厚生労働省の有識者検討会は28日、オンライン診療の適切な実施を促す指針・改訂版の修正案をおおむね了承した。改訂版には、オンライン診療を行う医師への研修受講の義務付けや、緊急避妊薬の遠隔処方を条件付きで容認することなどが盛り込まれる見通し。この日の意見やパブリックコメントの結果を踏まえ、厚労省は7月中に改訂版を公表する。【松村秀士】
厚労省は、オンライン診療の実施の際に最低限順守する事項などを盛り込んだ指針を2018年3月に公表した。ただ、同年6月に閣議決定された規制改革実施計画で、「ガイドラインを少なくとも一年に一回以上更新する」と明記されたことから、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で指針の見直しに向けた議論が進められてきた。
厚労省は28日、前回の会合で出た意見を反映させた修正案を提示した。主な修正点は、緊急避妊薬のオンライン処方に関する記載で、18歳未満の女性が受けた可能性がある性被害が児童虐待に相当すると思われる場合、処方する医師は児童相談所へ通告することを追記した。
従来の案では、対面診療の例外としてオンラインで初診を行う場合について、患者は少なくとも一種類以上の顔写真付きの身分証明書で本人証明を行うとしたほか、顔写真付きの身分証明書を含め、二種類以上の身分証明書を用いて本人証明をすることが望ましいとしていた。
しかし、28日の修正案では、患者が本人証明を行うための顔写真付きの身分証明書について、「少なくとも一種類以上」の文言を削除し、患者が顔写真付きの身分証明書を持っていない場合、「二種類以上の身分証明書を用いて本人証明を行う」ことを追記した。
■緊急避妊薬のオンライン処方の実態調査、「基本は全数把握」―厚労省
修正部分に対して反対意見は出なかったが、黒木春郎構成員(医療法人社団嗣業の会理事長)は、「急病急変患者については、原則として直接の対面による診療を行うこと」との記載について、「急変時とは、どういう時が想定されるのか整理した方がいい」と求めた。
また、指針の改定後に厚労省が実施する、初診からのオンライン診療による緊急避妊薬の処方に関する実態調査について、今村聡構成員(日本医師会副会長)が、「全例の実態を把握できた方がいいのではないか」と提案。これに対して同省医政局の佐々木健・医事課長は、「基本は全数把握のつもりだ。やり方を検討しながら、できるだけ多数の事例が集まる形でしっかりと調査したい」と応じた。
■集まった意見、12日間で1600件超
厚労省はこの日、13日から24日にかけて実施した指針の見直しに関するパブリックコメントで、計1652件の意見が集まったことを報告した。このうち、「緊急避妊薬」(1528件)に関するものが、全体の9割超を占めた。このほか、「地理的に診療が難しい人のアクセシビリティーを担保すべき」などの「その他」(102件)や、「研修」(10件)、「セキュリティー」「遠隔健康医療相談」(共に6件)に関する意見も寄せられた。
出典: 医療介謹CBニュース