マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
医師の働き方改革をめぐっては、実質「年1860時間」の時間外労働を認めている「地域医療確保暫定特例水準」に対する根強い反発の声があります。医労連、全国医師ユニオン、ドクターズ・デモンストレーション実行委員会の3団体は厚生労働省に対して要望書を提出しました。要望書では、特例水準を「必要医師数推計の誤り」によるものと指摘し、原因を明らかにするとともに看護師を含む医療スタッフの増員を求めています。
日本医療労働組合連合会(医労連)など3団体は、厚生労働省に対して「勤務医の長時間労働の是正、および勤務環境改善に関する要請書」を提出した。医師の労働について、年1860時間を上限とした時間外労働を認める「地域医療確保暫定特例水準」などに反対し、病院に勤務する医師や医療従事者の増員と、そのための財源の確保を求めた。3団体が7日に開いた記者会見では、看護師への業務移管(タスク・シフト)についても言及。「看護師も過重労働。現場の看護師は望んでいない」などと訴えた。【吉木ちひろ】
要請書を提出したのは、医労連、全国医師ユニオン、ドクターズ・デモンストレーション実行委員会の3団体。要請書では、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)の施行で2024年度から医師に適用される時間外労働上限規制について、年1860時間の特例水準を設けることを「必要医師数推計の誤り」によるものと指摘。この原因を明らかにするとともに、医師や看護師などの医療スタッフの増員を求めた。医師の増員規模は、日本と比べて平均で約12万人多い「OECD並み」が必要としている。
厚労省が医師の労働時間短縮に向けた取り組みとして掲げている、タスク・シフトについては、看護師への業務移管ではなく、専門職の養成と配置を求めた。要請書ではこのほかに、交替制勤務の導入促進によって連続労働時間の上限を16時間とすることや、大学病院で保険診療を行っていながら賃金が支払われない「無給医」の問題について調査し、根絶することなどを求めた。無給医の問題については、18年11月に柴山昌彦文部科学相が調査実施を表明しているが、結果はまだ公表されていない。
要請書は同日、根本匠厚労相宛てに提出。厚労省の医政局、労働基準局、保険局、医薬・生活衛生局および文科省の職員に直接説明を行った。要請を受けて厚労省からは、「令和7(2025)年度には、OECDの加重平均に日本の医師数も到達する。その後の医師の養成数を減らしていくことも検討していかなければならない」と回答があったという。これに対して3団体は、交替制勤務を前提とした医師必要数の推計などを重ねて要望した。
出典: 医療介謹CBニュース