マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
令和時代初の定例会見を行った日医・横倉会長が、財務省発の社会保障費抑制案を一刀両断。参院選を今夏に控えた与党に対して「厳しい審判を突きつけられることになる」と厳しくけん制しました。受診時定額負担の導入についても、元号は変われども、その反対姿勢は一貫。患者が少額で軽微な受診を抑制することで、より高額で深刻な受診が増加してしまう危険性を訴えました。
日本医師会の横倉義武会長は8日の定例記者会見で、4月23日に財務省が財政制度等審議会で示した医療保険の給付範囲の見直し案などに対して見解を述べた。今夏の参院選を前に与党に対して、制度や診療報酬体系の急激な変更による社会保障費抑制政策は「国民の理解を得られず、厳しい審判を突き付けられることになる」とくぎを刺し、長期的な視点を踏まえた議論を求めた。【吉木ちひろ】
横倉会長は会見で、厳しい財政状況について「我々は理解している」と述べた。財務省が示した改革案のうち、金銭的な負担能力のある75歳以上の後期高齢者が受診する際の窓口負担割合の引き上げや、高齢者の負担能力を判断する際に所得だけでなく金融資産を勘案する案については「必要である」と賛同する姿勢を示した。また、紹介状なしの外来受診時に定額徴収を義務付ける病院の拡大についても「検討を進めていくことが必要」とした。
一方で、受診時定額負担の導入については「経済格差が受療行動に影響を与える」などとして従来通り反対した。また、患者が少額で軽微な受診を抑制することで「高額で深刻な受診が増える可能性がある」とも指摘した。
このほか、▽地域医療介護総合確保基金の創設前から存在している事業を対象としたメリハリのある配分調整▽急性期病床の次期診療報酬改定でのさらなる要件厳格化▽民間医療機関に対するほかの病床機能への転換命令に係る都道府県権限などの付与―の3点についても「問題が大きい」との認識を示した。急性期病床の要件厳格化については「医療機関は自院の将来像を描いて改革を進めているところ」だとして中長期的な方向性を踏まえた議論の必要性を訴えた。
出典:医療介護CBニュース