マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
一般企業などでも、異なる担当者同士の「横の連係」は、その組織を活性化させるうえで大きなポイントになりますが、それは医療業界でも同じです。厚労省が妊産婦の医療や健康管理などに関する調査を実施したところ、妊産婦の6割近くが産婦人科以外の医師から、産婦人科の主治医に対する受診情報の提供がなかったことを挙げています。この結果には現状の妊産婦への医療体制の問題が凝縮されているような印象を受けます――。
厚生労働省は17日の「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」で、妊産婦の医療や健康管理などに関する調査の結果を公表した。産婦人科以外の診療科を受診した妊産婦の6割近くが、産婦人科以外の医師から産婦人科の主治医に対する受診情報の提供などがなかったと認識していることが明らかになった。また、妊産婦の約8割が妊娠に配慮した薬などに関する文書での説明を求めていることも分かった。【松村秀士】
調査は、3月20日から29日にかけて、全国の分娩を取り扱う病院と有床診療所の各250施設で外来受診・入院した妊産婦を対象に実施。1916人から回答を得た。
それによると、妊娠中に妊婦健診以外で産婦人科以外の診療科にかかったと答えたのは736人。この回答者に対して、産婦人科以外の医師から産婦人科の主治医に対する受診情報の提供について聞いたところ、「産婦人科以外の医師からの情報提供や指示はなかった」(58.0%)が最も多かった。
このほかの回答では、「産婦人科以外の診療科の医師から、自分で産婦人科の主治医に伝えるよう指示され、主治医に伝える内容を口頭で説明された」が10.1%、「産婦人科以外の診療科の医師が、文書で産婦人科の主治医に情報を伝えてくれた」が9.8%など。
また、産婦人科以外の診療科で診察を受ける際、妊娠に対する気配りで特に大切と考えることを全ての対象者に複数挙げてもらったところ、最多は「妊娠に配慮した診察・薬の内容について、説明文書を手渡して説明を行うこと」(80.7%)。以下は、「妊婦の診察に関して経験が十分にある医師が診察に当たること」(48.4%)、「診察中に母子手帳を確認すること」(41.0%)などと続いた。
この調査結果は、妊産婦への医療体制の在り方を検討するためのデータとなる。同検討会が6月までに予定している議論の取りまとめを基に、中央社会保険医療協議会(中医協)で妊産婦への診療報酬上の評価の在り方が議論されることになる。
17日の検討会の終了後、厚労省の担当者は、産婦人科医に対する別の診療科医師による情報提供不足について、「重要なポイントだ」と指摘した。
出典:医療介護CBニュース