マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
医療業界で一つの節目と予測される2040(令和22)年を見据え、厚労省が打ち出した「医療従事者の生産性向上案」は、医師分野でICT活用により勤務時間の短縮と効率化を推し進めて7%以上の向上、全体で5%を向上させる目論見です。基本的にはバイタル測定などの5つの業務が、他職種への移管やICT活用で減らせることが前提とされています。少子化本番の2040年までに「稚拙な未来予想図」「絵に描いた餅」とならなければ良いのですが……。
少子化が進む2040年をにらみ厚生労働省は、医師など医療従事者の生産性向上を進める。医師に関しては、看護師など他職種へのタスク・シフト(業務移管)やICT(情報通信技術)の活用で勤務時間の短縮と効率化を進め、7%以上の向上を目指す。医療全体では、ICTなどで5%以上向上させ、少ない人手で医療現場を回せるようにする。夏をめどに作る「医療・福祉サービス改革プラン」に盛り込み、国の経済・財政政策の基本的な方向性を打ち出す骨太方針2019に反映させたい考えだ。【兼松昭夫】
根本匠厚労相が10日、政府の経済財政諮問会議でプランの内容を説明した。厚労省では、電子カルテへの入力などの医療記録や、血圧など基本的なバイタル測定・データ取得など5つの業務に医師1人がかけている時間の平均7.2%を他職種への移管やICTの活用で減らせるとみている。これに対し、看護師やその他の医療従事者に関しては、医師からの移管分も含めてICTやロボット技術でそれぞれ5%以上効率化する。
医師の生産性は、入院・外来別に評価する。このうち入院では、国内の病院勤務医の総労働時間(1日当たり)で新規入院(同)をどれだけカバーできているかを指標に、40年に向けて成果を追う。新規入院の受け入れを促し、生産性の向上を狙う。
厚労省では、高齢化に伴って医療や介護の需要が増えると、「医療・福祉」の就業者が40年には1070万人(総就業者の17.8-20.4%)程度必要になるとみているが、一連の改革と健康寿命の延伸によって需要を抑え、最大でも963万人(16.0%)程度で回せるようにする。
出典:医療介護CBニュース