マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
財務省が導入を主張する「かかりつけ医」以外を受信した外来患者から新たに定額での負担を求める仕組みについて、日医の松原謙二副会長は改めて「とんでもない話だ」と強い反発を表明。現実問題として年金生活をしている人たちに負担を掛けることが難しい状態であることを強調しました。
社会保障審議会の医療保険部会は14日、「かかりつけ医」以外を受診した外来患者から新たに定額での負担を求める仕組み(外来受診時の定額負担)の導入など、年度内に結論を出すことになっている4つの検討項目を議論した。外来受診時の定額負担は、患者と医療機関とで逆方向にインセンティブが働く診療報酬での誘導に比べて有効な手段だと財務省が導入を主張しているが、医療保険部会では「受診抑制を招き、重症化につながりかねない」といった懸念が根強い。【兼松昭夫】
医療保険部会で話し合うのは、外来受診時の定額負担の導入のほか、▽後期高齢者(75歳以上)の窓口負担の引き上げ▽薬剤費の自己負担の引き上げ▽金融資産に応じて医療費の負担を求める仕組みの導入―の各項目。
これらはいずれも財務省の主張を受け、政府が2015年に作った「経済・財政再生計画」(財政健全化計画)に盛り込まれ、この計画を踏まえた改革工程表(改訂版)では、18年度中に結論を出すこととされている。
外来受診時の定額負担を巡り財務省側は、外来医療費が2万円のケースを想定し、「かかりつけ医」以外の外来を受診すれば、保険給付分の1万4000円の一部を「定額負担」に切り替えるイメージを示している。
16年11月には、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会が、「かかりつけ医」を患者が指定し、医療保険者に登録する枠組みを提言した。医療保険部会は同年末にかけて定額負担の導入の是非を話し合ったが、「かかりつけ医」の定義があいまいなまま新たな負担を患者に求めることへの慎重論が強く、結論を先送りした経緯がある。
14日の会合では、松原謙二委員(日本医師会副会長)が「年金生活をしている人たちに負担を掛けるのは難しい状態だ」と述べ、75歳以上の窓口負担の引き上げに反対を表明。外来受診時の定額負担の導入には「とんでもない話だ」と強く反発した。
出典:医療介護CBニュース