マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
4月にスタートした新専門医制度について、日病の相澤会長が診療科や医師の偏在について「ますますひどくなっている」と一刀両断。「現場の正直な意見だ」と前置きしつつ、新専門医制度がそれらを解消するのではなく、むしろ助長する仕組みになりつつある風潮にあることを明かしました。
日本病院会(日病)の相澤孝夫会長は30日の定例記者会見で、2018年4月に始まった新専門医制度について、27日の常任理事会で「医師の偏在を助長するような仕組みになりつつあるのではないか」との指摘があったことを明らかにした。また、こうした意見に関して、「現場の正直な意見だ」と述べた。【松村秀士】
相澤会長によると、常任理事会では、これまで特に地方の病院で内科や外科などの専門性を生かしながら、総合的に患者を診る仕組みがあったが、新制度の創設に伴ってそのような仕組みが崩れているのではないかとの意見が出た。また、新制度の導入に伴って専門医研修プログラムの応募者が減っており、優秀な臨床医の育成ができなくなることを懸念する声も上がった。
また、診療科や地域での医師の偏在について、「ますますひどくなっている」として、医師の偏在を解消するのではなく、むしろ助長する仕組みになりつつあることを危惧する意見もあった。
さらに、優秀な臨床医の育成と、医師の偏在対策の双方にバランスよく対応するのは困難なため、新制度では優秀な臨床医の育成に主眼を置くべきだとの意見もあったという。
会見で相澤会長は、「院長として病院を運営している先生方の意見だが、現場の正直な意見ではないか」と説明。その上で、日病として、こうした意見を関係省庁などに発信し、医療崩壊につながらないよう働き掛けていく考えも示した。
出典:医療介護CBニュース