厚生労働省は、「健康日本21（第二次）」の中間評価報告書の素案を、厚生科学審議会の専門委員会に提示した。全53項目の目標の達成状況では、6割超に当たる32項目を「改善している」と評価した。【松村秀士】

健康日本21（第二次）は、厚労省が推進する「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動」のことで、2013年度から22年度までを運動期間としている。同省では、具体的な目標の全53項目について、目標設定後5年をめどに中間評価を行うとともに、10年をめどに最終評価をすることにより、健康増進の取り組みに反映させたい考えだ。

　素案では、全53項目のうち、32項目を「改善している（a）」とした一方、19項目を「変わらない（b）」、残りの2項目をそれぞれ「悪化している（c）」「評価困難（d）」と評価した。

75歳未満のがんの年齢調整死亡率（人口10万人当たり）については、15年は78.0で、10年のベースライン値84.3より減少していることから、「a」と評価。また、がん検診の受診率は、16年の直近値は胃がんが男性46.4％、女性35.6％、肺がんが男性51.0％、女性41.7％などで、10年のベースライン値（胃がんが男性36.6％、女性28.3％、肺がんが男性26.4％、女性23.0％など）よりも改善が見られたとして、「a」とした。

脳血管疾患の年齢調整死亡率に関しては、16年度は予想された改善率を上回り、既に目標値を達成しているため「a」と評価し、高血圧の改善についても、10年から16年までの40－89歳の人の収縮期平均血圧の推移は男女とも低下傾向を示していることから、評価を「a」とした。

一方、脂質異常症では、10年から16年までの40－79歳の高コレステロール血症の推移は、総コレステロール240mg／dl以上とLDLコレステロール160mg／dl以上のいずれも男女とも「ほぼ変化なしと考えられる」ことから、評価を「b」とした。また、メタボリックシンドロームの該当者と「予備軍」の減少については、高齢化の影響で15年度は08年度よりも推計約12万人増えたため、「b」と評価した。

「こころの健康」では、人口10万人当たりの自殺者数の減少は「a」と評価。16年の実績値は16.8で、12年8月に閣議決定された自殺総合対策大綱での16年の目標値（19.4）に到達していると指摘している。ただ、45－59歳の男性の自殺率は依然として人口10万人当たり30人を上回っており、「より一層の総合的な自殺対策が望まれる」としている。

また、不安障害などに相当する心理的な苦痛を感じている人の割合の減少については、経年的に大きな変化がなく、評価を「b」とした。

「c」の評価は、「20歳代における歯肉に炎症所見を有する人の割合の減少」で、「d」の評価は「認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上」だった。

出典：医療介護CBニュース