マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
政府が今年策定すると見られる「骨太方針2018」に関して、日本医師会の横倉義武会長は医療側の立場から、しっかりと提言していく姿勢を示しました。
日本医師会の横倉義武会長は9日の定例記者会見で、政府が今年策定するとみられる「骨太方針2018」について、「社会保障費の伸びをどう取り扱うかが議論の焦点になる」とし、引き続き医療の立場からきちんと提言する考えを示した。【松村秀士】
骨太方針は、政府が例年6月ごろに閣議決定している。「骨太方針2015」では、社会保障費の伸びを18年度までの3年間で、約1.5兆円に抑えるという目安が示され、医療費の適正化や後発医薬品の使用促進などの施策が盛り込まれた。
9日の会見で横倉会長は、「必要な医療費を計算して、しっかりと手当てしていくのが本来のやり方であり、先にキャップを掛けるやり方は望ましくない」とし、社会保障関係費に最初から上限を設けるべきではないとの考えを示した。一方で、国民皆保険制度の持続性を担保するため、「国の財政状況に応じた形での報酬を考えていかなければならないことも事実で、2つのバランスをどう取っていくかが重要になる」と指摘。その上で、「今後も医療側からしっかりと提言をしていく」と述べた。
横倉会長はまた、来年度予算で約30億円の積み増しが予定されている地域医療介護総合確保基金について、「病床の機能分化や連携、在宅医療の推進、地域に根差した看護職の養成強化を含めた医療従事者の確保など、地域包括ケアシステムを推進するためのものだ」と強調。その上で、地域の医師会が中心となり地域密着型の医療提供体制を構築できるよう、「地域の実情に応じた(基金の)配分と柔軟な運用を改めて求めていく」とした。
さらに、4月から開始予定の新たな専門医制度に関しては、 プロフェッショナル・オートノミーに基づき、各地域のニーズに応じて過不足なく専門医の養成が進むことが重要だと指摘。また、新たな専門医制度が医学教育や臨床研究、生涯教育と連動し、より質の高い医療の提供に寄与することに「期待する」と述べた。
出典:医療介護CBニュース