マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
今年度内に厚労省が公表予定の「医療観察法災害ガイドライン」において、これまで議論されてきた災害時等の「入院対象者の避難」について、明確な解釈が示されそうです。
厚生労働省は10日、医療観察法の医療体制に関する懇談会に対し、「医療観察法災害ガイドライン」を作成する方針を示した。熊本地震で指定入院医療機関が被災したことなどを踏まえた措置。こうしたガイドラインの作成は初めてで、今年度内に公表する予定。入院対象者を避難させる必要がある場合、医師らが付き添う医学的管理下の「外出」を適用し、敷地外に退避できることを示す見通しだ。【新井哉】
医療観察法は、心神喪失などで、殺人、放火、強盗、強制性交、強制わいせつ、傷害といった「重大な他害行為」を行った人が対象となる。医療に加え、観察や指導を行って、病状の改善や同様の行為の再発防止を図り、社会復帰を促進する狙いがある。
医療機関は入院・通院医療を担っているが、指定された入院・通院医療機関の被災を想定したガイドラインはなく、医療観察法の対象者を避難所などに退避させるべきかどうか判断する際の基準がなかった。
ガイドラインには「緊急避難」、他の医療機関に避難させる「二次避難」の説明や手続きなどを記載。指定医療機関が被災し、医療観察病棟から直ちに避難させなければ対象者の安全を担保できないと管理者が判断した場合、「緊急避難」に当たるといった解釈も盛り込む予定。
医療観察法では、医師や看護師が付き添い、その医学的管理の下であれば、「外出」できるため、精神科医らによるDPAT(災害派遣精神医療チーム)などが付き添えば、敷地外の安全な場所に避難することが可能といった解釈を示す方針だ。
出典:医療介護CBニュース