アビガン投与患者、軽症者は88%改善~藤田医大COVID-19観察研究中間報告|業界ニュース

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アビガン投与患者、軽症者は88%改善
~藤田医大COVID-19観察研究中間報告

マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
新型コロナウイルス感染症治療薬として効果を期待されながら、5月中の承認は見送りとなった抗インフルエンザ薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)。藤田医科大学ファビピラビル観察研究事務局では観察研究について「軽症患者に投与された場合にほとんどの患者が回復している一方、重症患者では治療経過が思わしくないことも多い」と中間報告を発表しました。アビガンとの因果関係が疑われる有害事象は「尿酸値上昇または高尿酸血症」「肝障害または肝機能酵素上昇」などで、「投与時にはこれらの有害事象を注意深く観察することがすすめられる」としています。

藤田医科大学ファビピラビル観察研究事務局(研究責任者:土井洋平同大微生物学講座・感染症科教授)は5月26日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に抗インフルエンザ薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)を適応外使用で投与する観察研究について、「軽症患者に投与された場合にほとんどの患者が回復している一方、重症患者では治療経過が思わしくないことも多い」とする中間報告を発表した。中間報告は日本感染症学会や藤田医科大のホームページで公開されている。

■年齢群上昇するにつれ改善率低下
COVID-19患者にアビガンを投与する観察研究は2020年2月開始。投与症例の臨床情報は、迅速報告として藤田医科大の観察研究に報告され、詳細報告は国立国際医療研究センターが実施しているレジストリ研究に集積されている。

中間報告は、5月15日時点で407施設の医療機関から登録されたアビガン投与患者2158例の臨床情報を集計・分析。

投与開始7日目で初期症状が「改善」と判定された症例の割合(改善率)は、軽症例で73.8%(574例/ 778例)、中等症例で66.6%(498例/748例)、重症例で40.1%(75例/187例)。投与開始14日目の改善率は、軽症例で87.8%(506例/576例)、中等症例で84.5%(469例/555例)、重症例で60.3%(91例/151例)となっている。

年齢群別で見ると、年齢群が上昇するにつれて改善率は低下し、59歳以下では7日目79.0%、14日目92.4%だったのに対し、60歳以上は7日目55.0%、14日目73.8%。死亡率(転帰入力時点)も年齢群が上昇するほど高い傾向がみられ、59歳以下の1.8%(17例/927例)に対し60歳以上は20.8%(206例/991例)だった。

■新たな有害事象は報告されず
アビガンとの因果関係が疑われる有害事象は、「尿酸値上昇または高尿酸血症」が2158例中335例(15.5%)、「肝障害または肝機能酵素上昇」が159例(7.4%)で報告された。

これらの結果について観察研究事務局は「軽症患者にファビピラビル(=アビガン)が投与された場合にほとんどの患者が回復している一方、重症患者では治療経過が思わしくないことも多いことが読み取れる。また、諸外国からの報告と同じく、死亡率が高齢患者で顕著に高くなっている」とコメント。

観察研究ではアビガン投与群と非投与群の直接比較を行うことができず、大規模な疫学研究でCOVID-19は軽症で自然軽快することも多いことが示されていることから「慎重に結果を解釈することが必要」としている。

報告された有害事象については「抗インフルエンザ薬としての開発時に行われた臨床試験や治験での知見から予測されるもの」としながら、感染症学会が推奨するCOVID-19に対するアビガンの投与量はインフルエンザの場合よりも多く、投与期間も長いことから「投与時にはこれらの有害事象を注意深く観察することがすすめられる」としている。

■藤田医大の観察研究「倫理審査は必要なし」
藤田医科大の研究支援推進本部は5月26日、医療関係者向けにCOVID-19に関する観察研究の案内ページを開設。アビガン投与症例の迅速報告を行う観察研究は、医療機関の長への届出のみで参加でき、「各医療機関における倫理審査委員会の審査を必要としていない」として、多くの医師の参加を呼びかけている。

藤田医科大のアビガン観察研究については厚労省も「観察研究に関するQ&A」の中で、各医療機関で個別に倫理審査を受ける必要はなく、医療機関の長に「他の研究機関への既存試料・情報の提供に関する届出書」を提出し、写しを藤田医科大に送付することで参加できると説明している。

藤田医科大「COVID-19に関する観察研究」案内ページより

出典:Web医事新報

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