医師が美容クリニックに転職するメリットは?|医師転職ナレッジ

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医師が美容クリニックに転職するメリットは?

美容分野に関心をもつ若年層や男性顧客の増加により、美容医療へのニーズが高まっています。採用ニーズも高く、業界未経験でも可とする求人もあります。では、美容クリニックは一般のクリニックと比べてどのような違いがあるのでしょうか? また業界未経験の医師が転職するメリットはあるのでしょうか?

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1.美容クリニックの業務内容

美容クリニックの業務内容は多岐にわたります。脂肪吸引や豊胸手術などの外科手術や、眼瞼下垂(がんけんかすい)や二重形成などの必ずしも麻酔を必要としない手術、多汗症やワキガの症状を軽減する手術、さらに脱毛やニキビ跡の治療などさまざまです。どのような治療を行うかによって求められるスキルは異なります。

たとえば、脂肪吸引や豊胸手術など外科手術の側面が強い治療には、外科の経験を積んだ医師が重宝されます。即戦力として期待され、のちのちの幹部候補や院長候補となる可能性があります。また脂肪吸引や豊胸手術では麻酔が必要になるため、麻酔科の経験を持つ医師も歓迎される傾向にあります
また、眼瞼下垂や二重形成などの目に関わる手術も手技が必要となるため、眼科の経験が役に立ちます。これらの症例を行う美容クリニックは、診療科でいえば美容外科に該当します。
美容外科は症例が比較的難しいため、外科や麻酔科、眼科などの経験があれば40代でも転職可能ですが、まったくの未経験の場合、年齢によっては採用されない可能性もあります。

また、ニキビ跡の治療や脱毛、美肌治療、ワキガや多汗症治療などをメインに行うのは美容皮膚科です。転職する際には、美容皮膚科や皮膚科の経験があるにこしたことはありませんが、未経験でも診療しやすい分野だと言えるでしょう。
中には、問診のみを行いAGA(男性型脱毛症)などの治療薬を処方するだけという求人もあります。このようなクリニックでは、採用時に年齢や経験がそれほど関係してきません。

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2.美容クリニックは忙しい?

美容クリニックの忙しさは、業務内容や病院によって異なります。麻酔を使用した手術を行うクリニックの場合、当然ですが手術の時間によっては長時間の残業が発生することがあります。
また、日勤でも勤務時間帯が比較的遅い傾向があり、おおよそ12時~21時くらいがメインです。これは、患者さんが仕事帰りに立ち寄れるように、18時以降も診療をしているためであり、他の診療科のように、9時~17時勤務とはなりにくいでしょう。

また、美容クリニックの多くは自由診療です。そのため、患者さんが納得して治療を受けられるよう、医師によるカウンセリングが重要となります。カウンセリングを通して、治療によりどのような状態となるのか、またリスクや費用について説明します。想定以上にカウンセリングの時間が長引くこともあります。
カウンセリングでは患者さんに理解してもらえるよう説明をしたり、疑問点や不安な点をしっかりと聞き出したりするなど、医師としての手技以外にコミュニケーション能力も重要です。

3.美容クリニックのメリットとデメリット

では、美容クリニックへの転職を検討する場合、どのような点に気をつけるべきでしょうか。メリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。

<美容クリニックで働くメリット>
① 高収入
② 交通の便が良い
③ 開業がしやすい

まず、美容クリニックで働く第一のメリットは、「高収入」です。前項で述べた通り、多くは自由診療なので、医師の給与も高額になる傾向があります。美容クリニック未経験でも年収が1500万~1800万ほどになることもあります。さらに、キャリアアップして院長職に就けば年収5000万円~1億円という高収入を稼ぐことも可能になります。

第二のメリットは、「交通の便が良い」ことです。美容クリニックは、大きな駅の近くや駅ビルの中に開設されていることが多いため、電車通勤の際の便が良く通勤しやすい点も魅力です。
そして第三のメリットは、比較的「開業がしやすい」診療科であることです。ある程度の年数を勤務すれば、開業資金を蓄えると同時に美容診療のスキルを磨くことができ、充分に開業できる状態となります。ただし、開業にあたっての初期費用は高額なため、しっかりと計画を立てましょう。

主に待遇面での満足度が高いと言える美容クリニックですが、一方でデメリットもあります。

<美容クリニックで働くデメリット>
① キャリアが断絶してしまう
② クレームを言われることがある

デメリットとして第一に挙げられるのが、「キャリアが断絶してしまう」ことです。外科、麻酔科、皮膚科など、自分がそれまで経験してきた診療科のキャリアが途切れ、ゼロからのスタートとなります。
少しでも以前のキャリアを継続するために、常勤の美容クリニック医として働きながら週1日は元の診療科でアルバイトをして臨床を続ける、という方法もありますが、体力面を考慮すると現実的ではありません。
もしも美容クリニックが嫌になっても、元の診療科に戻りづらいことは念頭に置いておきましょう。

第二のデメリットは、「クレームを言われることがある」こと。手術をした結果、患者さんの理想としていた状態に仕上がっていないとクレームを受けることがあります。とくに顔周りの場合、目や鼻など印象を左右する重要な部位に施術をするため、たとえミスなく手術を終えられたとしても責められることもあります。術後の対応も基本的に施術を行った医師が担当するので、その点の覚悟は必要です。

4.まとめ

美容クリニックへのニーズは高まっており、今後さらなる成長が期待される分野です。おもに自由診療であることに起因する収入面や、キャリア形成の面で一般の診療科目との違いが生じます。自分のキャリアプランと照らし合わせて、転職先の候補として検討してみてはいかがでしょうか。

文:太田卓志(麻酔科医)

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