初期研修医から支持される亀田総合病院ERの研修とは?~不動寺純明先生インタビュー|スペシャルコラム

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初期研修医から支持される亀田総合病院ERの研修とは?
~不動寺純明先生インタビュー

医師不足の昨今、一定水準以上の初期研修医の確保はどの医療機関にとっても重要な課題です。そんな中、研修先として毎年人気を博している病院があります。その名は亀田総合病院。人気の秘密を探るべく、研修医の教育に熱意を注ぐ同院救命救急センターのセンター長・不動寺純明先生へインタビューしたWeb医事新報の記事を紹介します。

疾患を見落とさないためのポイントを指導

研修医を指導する上で気をつけているところは。

不動寺 純明(ふどうじ じゅんめい):亀田総合病院救命救急センター センター長。1991年宮崎医大(現・宮崎大)卒。茅ヶ崎徳洲会総合病院(現・湘南藤沢徳洲会総合病院)外科、同院チーフレジデントを経て、2002年亀田総合病院救命救急センター。08年安房地域医療センター救急科。15年より現職。
不動寺 純明(ふどうじ じゅんめい):亀田総合病院救命救急センター センター長。1991年宮崎医大(現・宮崎大)卒。茅ヶ崎徳洲会総合病院(現・湘南藤沢徳洲会総合病院)外科、同院チーフレジデントを経て、2002年亀田総合病院救命救急センター。08年安房地域医療センター救急科。15年より現職。

医師の無知や判断ミスで患者は亡くなる
初期研修医に救急医療の基礎を教えることで
助かる患者を1人でも増やしたい

初期研修医に対する指導と、救急専門医を目指す専攻医への指導とでは対応が変わってきます。

初期研修医というのは将来救急医療を担う可能性の少ない人がほとんどです。

我々救急医が常識として身につけていることでも、救急の非専門医はまったく知らない疾患の注意点やピットフォール、コツなどが存在します。簡単なことでも見落としてしまうので、そうした知っておくべきことを初期研修医のうちに教えてあげたいという気持ちがあります。

後期研修医の指導はいかがでしょうか。

日本の救急医療のパターンは大きく分けて救命救急センター型とER型の2つです。例えば3次救命救急センターでは重症患者だけを受け入れ、多くの医師や看護師が様々な資材を用いて搬送されてきた患者さんに素早く対応します。

一方で亀田総合病院が取り入れているのは、ER型です。ER型では様々な患者さんが救急にやってきます。医師や看護師よりも患者さんの方が多いので、その場で診療の順番を決めるトリアージを実施し、見落としてはいけない疾患に注意を払いながら診療を進めていきます。

ER型では診療の幅が広く、ある程度すべてに対応できる力が求められます。国内外を問わず、救急医療を担うすべての場所で遜色なく働くことのできる基礎を磨くという教育目標を掲げています。

魅力的なレクチャーを開催されています。

まだ試行錯誤の繰り返しですが、初期研修医を対象に、ちょっとしたコツを伝えるための「不動寺センター長のERひとりでできるもん」というレクチャーを開いています。昨年から週1回ペースで始めました。1回45分を目標としています。

昨年は整形外科ともタッグを組み、整形外科疾患に特化したレクチャーも週1回開催しました。今後は形成外科や眼科とも協力しながらレクチャーを行いたいと考えています。

医療の質を底上げしたい

特に初期研修医の教育に熱心な理由を教えてください。

医師の無知や単純な判断ミスで救急患者は亡くなります。

たとえば心筋梗塞の患者さんが来院したとして、ものすごく稀な症状であれば専門医であってもおそらく見逃してしまいます。しかし、現実によく起きているのは非典型的な症状の見逃しではありません。心筋梗塞を診た経験の少ない医師が、典型的な症状を見逃してしまっているのです。救急医や救急をよく知っている研修医だったら気がつくようなケースが多いと感じています。

助かる患者さんを1人でも増やすにはどうすればいいのか。凄腕の救急医をたくさん輩出することも必要ですが、救急の非専門医にある程度救急的な考え方を身につけさせることこそ、医療の質の底上げにつながるのではないかと思っています。

「重症かもしれない」と判断できる勘を磨く

医療の専門分化が進み、素晴らしいスペシャリストであっても、少し専門を外れるとまったく診られない時代になってきています。見逃しが起きないようにするために当直もしないといった例もあります。

外傷で受診した患者さんに対し、縫合ができなくても、ガーゼをあてるコツさえ知っていれば、次の日に外科へ行ってもらえれば問題ありません。骨折の場合も、レントゲンがよく分からなくても、固定だけできればとりあえずは大丈夫です。こうしたことを初期研修医のうちに教えておくことが大切だと思っています。

研修医時代に少し救急を教われば、診断ができなくても、「重症かもしれない」と判断する勘を磨くことはできます。救命センターや専門の科につなぐ決断が下せれば、助かる患者さんは増えますよね。

時代に即した指導が必要

指導で工夫していることは。

今の若い医師は、ワークライフバランスを重視する傾向が強く、私が研修医だった頃とは考え方が異なります。いわゆる「昭和」の指導ではついてきてくれません。時代に即した指導をする必要があると感じています。

上から押しつけて、これを覚えなさいと言うのではなく、研修医自身に目標や疑問を持たせ、サポートするよう心がけています。

ワークライフバランスを重視する医師が増えたことで、救急に人が集まりにくいという事態は起きていませんか。

そういう面もたしかにありますが、最近では8時間交替制を取り入れている病院も増えてきました。亀田総合病院は、日勤・夜勤の2交替の完全シフト制ですが、それほど無茶な働き方ではないと思います。

また長時間勤務するとパフォーマンスが低下するので、きっちり帰らせるようにしています。

2024年度から罰則付き時間外労働上限規制が勤務医にも導入されます。このような働き方改革にも対応できそうですか。

現在の残業時間を平均すると月55時間ぐらいです。後期研修医は複数の診療科をローテーションするので、人が少ない時期には月60時間程度の残業になりますが、許容範囲ではないでしょうか。

今後の課題は。

初期研修医から携帯を取り上げて診療させたいというのが私の夢です(笑)。

インターネットの発展に伴って、すぐに何でも調べることができるようになりました。しかし、調べた内容が正しいのか判断できない研修医が多くいます。氾濫する情報を見極められるよう、導く必要性を感じています。
(聞き手・上野ひかり)

出典:Web医事新報
※本記事は株式会社日本医事新報社の提供より掲載しています。

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