第12回「地域性から見た医師の印象」|スペシャルコラム|DOCTOR'S COLUMN|マイナビ【DOCTOR】

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第12回「地域性から見た医師の印象」

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1.見逃せない地域間格差

医師としてさまざまなパフォーマンスがありますが、地域性という視点から見た医師の行動パターンや意識には、首都圏と地方でそれぞれ差があります。研究者、教育者、勤務医、開業医、行政職……など、医師人生の選択肢という点での違いも明確ですが、地域間格差という側面も見逃せません。

医師の業界全体を覆っているのは、大学教授を頂点とする学会や大学による縦型の構造です。首都圏では、大学教授とクリニックや診療所の医師とでは差が歴然としており、大学も東京大学を頂点とするヒエラルキーがはっきりしています。ある私立大学などでは教授陣は大半が東大卒で自学の出身教授はほとんどいないという大学もあります。大学間の学閥争いは激烈です。大学内で起こる事件、事故、紛争などは教授陣の出身大学間の争いに起因していることが多く、内部告発という形を取って敵対する大学グループを攻撃している姿は目を覆いたくなるほどです。

こうしたベースの上に、地域性という要素も加味され、医師の行動様式や意識に差が生じるようです。

2.首都圏と地方の市場性

東京を含む首都圏は大学や大病院が密集し、東京大学を筆頭に覇権争いをしている状況ですから、クリニックや診療所の医師は最底辺となりがちです。

首都圏の患者さんは、地方部から比べると「ブランド志向」が強いようです。
「私が通っている病院は○○大学病院で、主治医はあの有名な○○教授です」
という自慢をするケースは、地方より首都圏で多く見られます。一般的にあまり知られていませんが、大学教授は患者さんを治した数より論文数で決まるといっても過言ではありません。

首都圏は市場性が豊かなので、若手医師が選択する研修指定病院や有名病院、有名大学が多数存在します。一方、地方は県庁所在地に一医科大学があるのみで、それ以外はまれに有名病院がある程度です。地方の大学病院医師とクリニックや診療所医師との関係は、同門会などを通じて近い関係にあるため、それほど大きな差はなく対等な関係性を築けます。

また、患者さんからすれば病院や大学を比較できるような環境にないので、目の前にいるクリニックや診療所の先生を頼るしかありません。東京と比べるとより患者さんに頼られ尊敬される位置にいます。
しかし首都圏の患者さんは「ブランド志向」の人が多いため、“通”ぶった生半可な知識で医師を値踏みするケースも見受けられます。
首都圏は相対的に勤務医の数も多く、なかなか自分の人生設計が立てにくい状況のようです。

3.県民性ならぬ県医性!?

高齢化すると医師として現場の第一線に立つのも難しくなります。医師人生の岐路に立ったとき、東京を中心とした首都圏では、学者・研究者・行政職といった選択肢が多数ありますが、勤務医や開業医となると事業を営むには相対的に厳しくなります。
また、東京や大阪などの大都会地では大病院や企業が多いので、地方のように医師であることで特別待遇を得られません。

収入面を比較してみると、東京など都市部の銀行の支店長クラスなら医師と同じ水準の収入を得ているケースも多く見られます。また、大企業の部長クラス以上なら医師よりも収入が多いということも希有ではありません。
融資の審査においても都市部と地方では差があります。東京で医療事業を営む医師は、地方の医療経営者と比べるとよくいえば「社会性がある」、悪くいえば「擦れている」人が多いように思います。東京や都市部では医師をカモにしてビジネスをしているケースも多く、だまされた先生が「擦れてしまう」のかもしれません。
一般人に県民性があるように医師にも地域性があります。土地の風土や習俗に基づく県民性とは違うパターンの地域性ですが、考慮に入れておく価値はあるかと思います。

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平田 二朗(ひらた じろう)
医療経営コンサルタント
元病院を経営する公益財団法人の専務理事。
保険調剤薬局経営を経験し、医師開業支援を多数実施。病院法務セミナーや医療安全フォーラムなどを多数主催。スウェーデン医療福祉視察を7回実施。
「病院経営のしくみ」「クリニック開業ガイド」「スウェーデン精神科医療改革」(マイナビ出版)など著書多数。現在、一般社団法人医療法務研究協会副理事長、医療法人・社会福祉法人などの理事、(株)コメディカル代表取締役。