病院開業のコストと資産管理|スペシャルコラム

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病院開業のコストと資産管理
【医師 開業への道のり 第11回】

医院の開業にあたり事業資金が充分かどうか心配な場合、なるべくコストのかからない業態・診療科目を選択するという方法があります。医療経営コンサルタントの平田二朗氏が、コストのかからない業態選びと開業後の資金計画について解説します。

省スペース・低コストなら心療内科

病院に比べると小規模ですが、地域医療の根幹を担う「無床診療所」は、入院ベッドは持たず外来診療だけを行います。ここでは、こうした「無床診療所」を開業するときのポイントを紹介いたします。

診療科目で一番費用が掛からないのは心療内科などのメンタルクリニックです。検査や処置のスペースがあまり要らないので、待合室と診察室及びカウンセリングルームを中心にハードを組み立てて行けば済みます。広いスペースを要求しないので、施設に対する費用が安くて済みます。逆にスペースが要求されるのが整形外科です。リハビリ施設のない整形外科は、診療内容がおのずと限定されてくるので、どうしてもリハビリ施設が必要となります。また、リハビリの治療時間は一定程度必要ですので、患者さんが院内に長時間滞在することを想定しなくてはいけませんし、電気治療などを施術する場合には、さらにスペースが必要となります。くわえて、リハビリの施設基準を取るということになれば、もっと広いスペースが必要となり、心療内科のスペースと比べて最低3倍以上の広さが求められます。

診療科目と開業地域での価格差

ここでは無床診療所を題材にしていますので産科施設を除きますが、産科の分娩を伴う施設なら、これも相当な広さが必要となります。内科や小児科、眼科、耳鼻咽喉科、循環器科、消化器科、DMなどはそれぞれの機能的な広さが必要となりますが、心療内科と整形外科の中間に位置します。診療科目でこれだけのスペースの違いがあり、かつ開業となると事業計画上どこまで許容されるか重要なテーマとなります。不動産価格の地域間差は極端です。地方都市に行けば幹線道路沿いでも坪20万円台で取得が可能ですが、東京都23区内では、坪200万円以上かかります。

賃貸方式か自己所有か?

開業施設を賃貸方式で運営するのか、自己所有で運営するのかという判断は、実は運営に当たっての経費やキャッシュフローで決まります。地方で開業しようが都会地で開業しようが保険収入の日当円は同じですから、患者数で決まりますが、いくら市場性があっても受け入れる施設にハード上の限界があると多くの患者数は望めません。ハード上では地方の方が受け入れ施設の広さを確保できる余裕があります。それらの優劣は別にして診療収入が同じであると仮定して考えると、賃貸方式なら賃料や共益費、自己所有方式なら減価償却費が対比されます。これに加えて自己所有方式では土地代にかかるキャッシュフローも加算されます。しかし、土地代や建築代を含めたキャッシュフローは地方の場合、そんなに高額にはなりません。収入が同じという前提でいけば賃料・共益費と自己所有にともなう費用とでは、払える費用の限界は同じです。となると地方は土地も建物も自己所有物件が可能ですから、資産価値もあがります。かたや賃貸方式はいつまで経っても資産価値は出てきません。

地方は自己所有方式、都会は賃貸方式がベター

総合的な収支予算と資金計画において私はどちらかというと、自己所有方式を推奨していますが、大都会ではあまりにも高い不動産価格で、その組み立てが成立しません。やむなく賃貸方式となりますが、収支やキャッシュフロー上と機能上を考えると賃貸方式で坪2万円以上の案件では、採算性でリスクが高くなります。賃料として払える絶対額がありますが、それを勘案してきちんと患者数が採算性をクリアできることを保証するような広さが確保できるかがポイントです。大都市の先生方は開業するにあたって、場所によるハンディをもともと持っていると考えられた方が良いと思います。

PROFILE

医療経営コンサルタント
平田 二朗(ひらた じろう)

元病院を経営する公益財団法人の専務理事。
保険調剤薬局経営を経験し、医師開業支援を多数実施。病院法務セミナーや医療安全フォーラムなどを多数主催。スウェーデン医療福祉視察を7回実施。「病院経営のしくみ」「クリニック開業ガイド」「スウェーデン精神科医療改革」(マイナビ出版)など著書多数。現在、一般社団法人医療法務研究協会副理事長、医療法人・社会福祉法人などの理事、(株)コメディカル代表取締役。

<著書>

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