地方で開業する場合、土地建物を自己所有で考えるため、設備器械代を含めるとおおよそ１億5千万円以上の事業資金が必要となります。整形外科や産科ともなれば、さらに費用がかさみます。都市部に賃貸で開業する場合も5千万円を下ることはありません。

開業支援をやっている業者は数多くありますが、その背景は建設業界や、医療器械、薬品、調剤薬局などの業界が手掛けています。それぞれの事業を成り立たせるためのアプローチですので、100％開業をめざす医師の立場で動くわけではありません。悪質な業者になると、社会的な常識を越えた利益をとって、あとは「先生の責任で頑張ってください」ということもあります。経営や事業という側面で素人の医師をうまく乗せて、利益を抜いたらさっさといなくなるような“コンサル”や“建設会社”をたまに見かけます。そういう手合いに遭遇した医師は本当に大変です。借金が返済できず夜逃げ――といった事態を避けるため、開業を思い立ったら、どこに相談すべきか初動を間違えないようにしましょう。

次回からは、開業するにあたっての注意事項や想定される問題点などをそれぞれの分野から解説してゆきます。