マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
市場調査会社・矢野経済研究所の発表によりますと、ICT使用による遠隔医療の市場規模が、2019年度には約200億円にも膨れ上がるそうです。なお同研究所では「遠隔診療」「遠隔画像診断」「遠隔病理診断」「遠隔健康管理」と4分野の市場の合算値を遠隔医療市場と定義しています。
ICTを使った遠隔医療の市場規模が2019年度には約200億円に拡大するとの予測を、市場調査会社の矢野経済研究所が発表した。特に遠隔診療については、18年度の診療報酬改定でプラス改定となった場合、医療機関での専用アプリケーションなどの遠隔診療ツールのさらなる導入が期待できるとし、「市場の拡大は急速に進む」としている。【松村秀士】
同研究所では、「遠隔診療」「遠隔画像診断」「遠隔病理診断」「遠隔健康管理」の4分野の市場(参入事業者の売上高ベース)の合算値を遠隔医療市場と定義。今年4月から7月にかけて、日本国内の遠隔医療製品の企業などを対象に調査を実施した。
それによると、15年度の国内の遠隔医療市場の規模は122億6900万円で、遠隔画像診断市場が全体の市場をけん引した。また、今後の遠隔医療市場の規模について、16年度は129億9900万円(15年度比5.9%増)、17年度は148億3500万円(同20.9%増)、18年度は176億5200万円(同43.9%増)、19年度は199億600万円(同62.2%増)にそれぞれ拡大すると予測している。
4分野の動向については、遠隔診療は特に重症化予防や服薬指導、生活習慣病による医療費増加への抑制効果が期待できると指摘。また、18年度診療報酬改定でプラス改定となった場合、医療機関で遠隔診療ツールの導入が進むことが期待できるとしている。
さらに、遠隔画像診断に関して、読影件数は画像診断件数の増加に伴って1医療機関当たりの依頼件数が安定的に増加していると指摘。一方、医療機関の減少や医療連携、個人健康記録の実現による重複検査の削減などで、長期的には遠隔読影サービスの件数にマイナスの影響を及ぼす可能性もあるが、「中期的には安定的に推移する」と予測している。
遠隔病理診断については、病理医の不足や地域偏在などが是正されるような18年度改定が行われると推測できることから、術中迅速病理診断の普及速度の向上や、遠隔病理診断用の機器やシステムの医療機関への導入件数の増加で、診断件数は短期的に微増、中期的には増加傾向になるとみている。
遠隔健康管理では、17年度に特定保健指導における遠隔面接の事前の届け出が廃止となるため、利用者と医療従事者が離れていることが条件となる遠隔面接も遠隔健康管理の一部になると指摘。その上で、遠隔健康管理の主な財源者は自治体から特定保健指導をする保険者になることから、「福利厚生アウトソーシング事業会社が遠隔健康管理を主導することも考えられる」としている。
出典:医療介護CBニュース