マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
全国にへき地拠点病院は現在312施設ありますが、厚生労働省の調査の結果、拠点病院とされながら1.巡回医療、2.医師派遣、3.代診医派遣のどれも行っていないところが77施設もあることがわかりました。
これを受けて、厚労省は指定要件を見直すことを決め、数値目標を定める予定です。
上記の1~3の合計実績が1カ月に1回(年間12回)以上あることを指定の要件とすることで、拠点病院の質の確保とへき地医療への貢献度を高めたい考えです。
厚生労働省は、へき地医療拠点病院の指定要件を見直すことを決めた。現在の指定要件には巡回診療などの具体的な目標値がないため、巡回診療や医師派遣(代診を含む)を実施しない拠点病院が少なくない。こうした状況を改善するため、巡回・派遣の回数を「1カ月間に1回以上」とする数値目標を、指定要件に明記する方針だ。【新井哉】
へき地拠点病院は、巡回診療や近隣に医療機関がない場所に設置されている「へき地診療所」への医師・看護師の派遣に加え、総合的な診療能力を持つ医師の育成を担っている。ただ、医師不足で巡回診療や医師派遣のできない拠点病院が少なくない。厚労省が行った調査(2016年1月時点)でも、全国の拠点病院(312施設)のうち、▽巡回診療▽医師派遣▽代診医派遣―のいずれも行っていない施設が77施設(24.7%)あることが明らかになっている。
拠点病院と同じように、へき地医療を担っている社会医療法人に関しては、「へき地診療所」に医師を53日以上派遣する基準が定められている一方、拠点病院には、こうした基準がない。へき地医療の貢献度が低い施設については、「拠点病院の看板を下ろすべき」といった意見も出ているが、明確な基準がないため、都道府県知事が指定の取り消しに慎重にならざるを得ない。
こうした状況を踏まえ、厚労省は指定要件を見直す必要があると判断。巡回診療と医師派遣、代診医派遣の計3事業の実績が1カ月間に1回(年間12回)以上あることを指定の要件とすることで、拠点病院の質の確保と、へき地医療への貢献度を高めたい考えだ。
しかし、この指定要件を当てはめた場合、全体の3割超の施設が要件を満たせないことが見込まれる。厚労省は今後、都道府県が参考にする「医療計画作成指針」に拠点病院の数値目標を盛り込み、都道府県が改善の必要な施設に対し、要件を満たすよう働き掛けやすい環境を整える方針だ。
出典:医療介護CBニュース