マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
大麻使用歴のある元施設職員が起こした相模原市の障害者施設での殺傷事件を受け、厚生労働省は「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」で措置入院の診療ガイドラインを作成する方針を示しました。
ガイドライン(GL)に盛り込む項目としては、薬物使用に関連する精神障害が疑われる患者への対応のほか、院内での多職種による治療方針の決定、心理検査・退院後ニーズアセスメントによる退院後の治療方針の検討などがあげられました。
厚労省はガイドラインの案を早ければ年内に取りまとめる方針です。
厚生労働省は6日、「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」の会合で、措置入院の診療ガイドライン(GL)を作成する方針を示した。相模原市の障害者施設の殺傷事件を検証した同省の再発防止策検討チームの報告書を踏まえたもので、薬物使用者への対応などを盛り込む。【新井哉】
再発防止策検討チームが昨年12月に公表した報告書では、殺傷事件を起こした元施設職員が措置入院先の病院で「大麻使用による脱抑制」と診断されていたにもかかわらず事件を防げなかったことに触れ、薬物使用に関連する治療方針が精神科救急の現場で普及していないことを指摘していた。
こうした状況を踏まえ、厚労省は、措置入院中の患者に対する診断や治療、措置解除後の医療支援などを行う際に参考となるGLが必要と判断した。
診療報酬と関連付け検討も
この日の会合で、厚労省は、GLに盛り込む項目として、▽院内での多職種ミーティングによる治療方針の決定▽認知行動療法の考え方を取り入れた社会復帰に向けた治療プログラムの提供▽心理検査・退院後ニーズアセスメントによる退院後の治療方針の検討▽薬物使用に関連する精神障害が疑われる患者への対応―を挙げた。GLの普及を図るため、診療報酬と関連付けることも検討する。
今後、厚労科学研究などの研究班で、GLに記載する診療内容や退院後の支援のあり方を検討し、早ければ年内にもGLの案を取りまとめる方針だ。
出典:医療介護CBニュース