マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
申請者が関わっていないのにレポートに記載したとして大量の資格取り消し者が出ている精神保健指定医について、日本精神科病院協会が、資格試験を改革する必要があると声明を発表しました。
30年前に制定され、運用されてきた指定医制度の改革ですが、具体的な例としては口答試験の導入、資格更新時に参加型のグループワークを組み込むなどの改善が求められています。指定医が足りない地域などで人数を確保できないケースに対応するために、資格があるにもかかわらず現在働いていない指定医が、救急医療などに参加できるシステムの構築も提案されました。
厚生労働省が精神保健指定医89人の資格取り消しを決めたことを受け、日本精神科病院協会は、資格試験に関する改革が必要とする声明を発表した。30年ほど前に制定され、運用されてきた指定医制度については、「制度疲労」を起こしているとし、口頭試験などの導入を提案している。【新井哉】
声明では、指定医の申請に必要な患者の診断や治療などを含めた医学的な知識を証明するケースレポートを不正に作成し、厚労省から処分を受けた聖マリアンナ医科大における精神保健指定医の資格取り消しや、今回の大量処分の決定について、「日ごろから培ってきた国民の精神科医療への信頼を根底から覆すものであり、その影響は計り知れず、誠に遺憾」としている。
人権に十分配慮した入院などの治療を行うことを目的に、30年ほど前に制定された指定医制度については、「試験そのものが、すでに制度疲労を起こしており、試験や研修の方法を改革すべき時期に差し掛かっている」と指摘している。
具体的な改革方法として、口頭試験を導入し、提出された症例を中心に審査を行い、指定医としての資質を判断することや、新規・資格更新の際に受講する指定医研修を座学中心からグループワークによる参加型の内容に変えることを提案している。
また、指定医を確保できず、緊急措置入院などを伴う精神科救急体制の整備に支障が出るといった「指定医の地域偏在」の問題を解消するため、資格があるにもかかわらず活動を休止している指定医が、救急医療などに参加できるシステムを構築する必要性を挙げている。
出典:医療介護CBニュース