マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
厚生労働省は、2014年度分の国民医療費の額が過去最高の約41兆円となったと発表しました。国民医療費とは、医療機関等における保険診療の対象となりうるケガや病気の治療に使われた費用を推計したものです。
つまり、保険対象外の自由診療分や、予防接種、差額ベッド代などは入っていないので、実際はさらに巨額の医療費がかかっていると言って良いでしょう。
厚生労働省は、2014年度の国民医療費が、過去最高の40兆8071億円だったと発表した。初めて40兆円を超えた前年度と比べ1.9%(7461億円)伸びた。国民一人当たり32万1100円も過去最高で、前年度と比べ2.0%(6400円)高い。【佐藤貴彦】
国民医療費は、医療保険制度などの対象となった医療費を合算したもの。自動車損害賠償責任保険で支払われた費用などは含まれるが、保険対象外の自由診療や正常分娩の費用、差額ベッド代などは入っていない。
薬局調剤医療費、2%超える伸び
14年度の国民医療費のうち、医科診療の入院医療費は15兆2641億円(前年度比2.0%増)、入院外医療費は13兆9865億円(同1.5%増)、薬局調剤医療費は7兆2846億円(同2.4%増)、歯科診療医療費は2兆7900億円(同1.9%増)。
全体に占める割合は、医科診療の入院外医療費が34.3%で、前年度と比べ0.1ポイント減ったのに対し、薬局調剤医療費は17.9%で、0.1ポイント増えた。
75歳以上は一人当たり90万円
国民医療費を年齢階級別に見ると、14歳以下が全体の6.1%(2兆4829億円)、15-44歳が12.8%(5兆2244億円)、45-64歳が22.5%(9兆1932億円)、65歳以上が58.6%(23兆9066億円)だった。
一人当たりの国民医療費は、14歳以下が15万3000円、15-44歳が11万6600円、45-64歳が27万8300円、65歳以上が72万4400円。65歳以上の一人当たりの費用は前年度と比べ100円安いが、75歳以上に限ると90万7300円で、前年度と比べて400円高い。
一人当たり医療費、最高の高知は42万円
住所地の都道府県別の一人当たり国民医療費が最も高いのは高知(42万1700円)で、以下は長崎(39万6600円)、鹿児島(39万600円)、山口(38万7500円)、大分(38万2300円)、北海道(38万1700円)などの順。
一方、最も安いのは埼玉(27万8100円)で、千葉(27万9700円)や神奈川(28万5700円)、滋賀(28万8400円)、愛知(28万9300円)なども安かった=グラフ=。
厚労省は、1954年度から各年度の国民医療費を推計している。推計結果が前年度を下回ったのは、介護保険制度が創設され、それまで国民医療費の対象だった費用の一部が同制度で賄われるようになった2000年度と、診療報酬のマイナス改定が行われた02年度・06年度のみで、増加傾向が続いている。
出典:医療介護CBニュース