マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
ジカ熱が性行為で感染するケースが米国などで多数確認されたことを受け、国立感染症研究所は、蚊媒介感染症の診療ガイドラインを改訂しました。
男性から女性、男性から男性の性行為でジカ熱が感染したことがわかっていますが、現時点で女性から男性、女性から女性への感染は確認されていません。
輸血から感染する可能性もあり、ガイドラインでは「流行地域を離れてから4週間は献血できない」と明記しています。
性行為によるジカ熱の感染で男性が感染源となる事例が米国などで多数報告されていることを受け、国立感染症研究所は、蚊媒介感染症の診療ガイドラインを改訂した。診断基準などの項目に性行為歴に関する記述を追加。性感染対策の項目では米国で男性から女性への感染に加え、男性から男性に感染したケースがあったことを指摘している。ただ、現時点では、女性から性行為によってパートナーへ感染した事例は報告されていないという。【新井哉】
ガイドラインでは、ジカ熱に関する新たな知見を踏まえ、ジカ熱を疑う患者について、発熱や発疹、関節痛などの発症前の概ね2-12日間に同様の症状の男性との性交渉歴があることを診断の項目に付け加えた。
性感染対策の項目では、「流行地域から帰国した無症候の男性からパートナーへの性行為感染も報告されている」と指摘。また、性行為による感染がどの程度の頻度で発生し、精液中にどの程度の期間残存するかについては、「国際的な合意は得られていない」としている。
輸血から感染する可能性も取り上げ、「ジカウイルスに感染した患者からの血液を介した感染のリスクが存在する」と指摘。流行地域への渡航者については「流行地域を離れてから4週間は献血できない」と明記している。
また、小頭症などを伴う先天性ジカウイルス感染症についても、「妊娠前または妊娠中に、流行地への渡航歴のある男性と適切にコンドームを使用していない性交渉歴がある」といった条件を満たす場合、母体や新生児に対する感染の評価を実施するよう求めている。
出典:医療介護CBニュース