B型肝炎予防接種、無料先行実施で地域格差- 10月の定期化開始前の救済措置で|業界ニュース

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B型肝炎予防接種、無料先行実施で地域格差
- 10月の定期化開始前の救済措置で

マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
懸案として議論されてきたB型肝炎の予防接種が、この10月から定期接種化されます。
1歳の誕生日までに3回接種する必要があり、標準的な接種スケジュールでは初回が生後2カ月、2回目が3カ月、3回目が7-8カ月となっていますが、今年4-7月に出生した小児は、通常の接種期間よりも初回接種が最大4カ月遅れてしまいます。そのため、先行接種ができるよう、助成金を出す自治体も出てきています。

予防接種法施行令の一部を改正する政令が22日に公布され、10月からB型肝炎ワクチンが定期接種化されることが正式に決まった。しかし、今年4-7月に出生した小児は通常より接種期間が事実上短くなるデメリットがあるため、医療・自治体関係者から改善を求める声が続出。その救済策として無料で接種を受けられるようにした自治体が出てきており、財源がなく無料化できない自治体との格差が拡大している。定期接種事業の平等・円滑な実施に影響が出かねない事態で、救済措置の検討や自治体の柔軟な対応が求められそうだ。【新井哉】

4-7月出生の小児、初回接種は最大4カ月の遅れも

B型肝炎ワクチンについては、2012年に厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会が予防接種制度の見直しをまとめた提言で、広く接種を促進すべきワクチンとして指定。厚生労働省が今年2月に開かれた同審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会に対し、10月から定期接種化する案を示し、了承されていた。今年4月以降に出生し、1歳の誕生日を迎えるまでの小児が対象となっている。

1歳の誕生日を迎える日までに3回接種する必要があり、標準的な接種スケジュールでは初回が生後2カ月、2回目が3カ月、3回目が7-8カ月となっている。ただ、このスケジュールが適用されるのは、今年8月以降に出生した小児で、今年4-7月に出生した小児は、通常の接種期間よりも初回接種が最大4カ月遅れる。

このため、医療関係者や自治体の担当者からは「きついスケジュール」との指摘が出ている。また、1歳の誕生日の翌日からは定期接種の対象外となるため、それ以降は「任意接種で費用は自己負担になる」と、保護者らの金銭的な負担を懸念する声が上がっている。

「法令に基づくもの」、厚労省は救済措置を困難視

厚労省は「何とか最後、1カ月のところで3回の接種が終わる」と主張しているが、これに異議を唱える動きが広がりつつある。日本産科婦人科学会は今月6日、B型肝炎に関する厚労科学研究の主任研究者らの要望書をホームページに掲載。4月1日以降に出産した母親に産科医が周知することを求めており、4-7月に出生した場合、「標準的なHB ワクチン(B型肝炎ワクチン)の定期接種が実施できない」と指摘。生後2カ月に任意で初回接種を受けるか、10 月まで初回接種を待つ場合、できる限り早く接種するよう促している。

この問題は予防接種基本方針部会でも取り上げられた。委員の1人が、風邪や体調不良で、すぐに接種を始められなかった場合の救済措置について質問した際、厚労省の担当者は、医学的な観点での必要性や有効性に理解を示しながらも、「これは法令に基づくもの」として救済措置は困難との認識をにじませた。

その一方で、長期療養が必要な重篤な疾患などで対象年齢内に定期接種が受けられなかった場合の特例に触れ、この特例で対応できるかどうか自治体などで検討する余地があるとの考えを示した。

国に先行して実施、「標準期間内に3回接種可能」

一部の自治体では、対象者や接種を行う医療関係者に配慮し、B型肝炎ワクチンの任意接種に対する助成金を出し、定期接種化の前でも事実上「無料」とする動きも出てきた。山口県宇部市は今月から同ワクチンの予防接種費用の全額(1回当たり上限8700円)を助成。同市は「国に先行して実施することで、接種標準期間内(生後2-8カ月)に3回の接種が可能となり、早期の感染防止対策と接種スケジュールが立てやすくなる」と説明している。

愛知県豊橋市も、定期予防接種の対象者(4月1日以降出生)への全額助成を始めた。同市は「基礎免疫を付けるには、一定の間隔で3回の接種が必要」と指摘。今月から始めたことで、4月の出生児も標準的な初回接種の生後2カ月に間に合う計算だ。また、余裕を持って接種ができるため、定期の予防接種が始まる10月に、対象者が医療機関に殺到する事態を防ぐことにもつながるという。

同県の安城市も7月から接種費用の全額助成を始める予定で、今後、全額助成を行う自治体が増える可能性も出てきた。しかし、財源不足から接種希望者への支援ができない自治体もあるのが実情だ。接種環境をめぐり、自治体間の格差が広がった場合、国民が同じ条件で等しく受けられることが前提となっている定期接種事業に疑問符が付きかねない。国は自治体間の格差の是正に向け、早期に無料で受けられる期間の延長などの救済措置の検討や、接種可能な期間の周知徹底を図る必要がありそうだ。

出典:医療介護CBニュース

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