マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
出生前の胎児の検査などを含む遺伝子検査は、その後の中絶などに関係するため慎重に議論が進められているトピックです。日本医師会の小森貴常任理事は8日、日医としての見解を発表しました。現在厚生労働省と経済産業省両方が担当する遺伝子検査への規制や監督は、厚労省に一元化することを提言。出生前遺伝学的検査(NIPT)では、その特性についての啓発が必要と強調しました。NIPTについては高久史麿・日本医学会長も問題を指摘しており、妊婦らに対する検査前後のカウンセリング体制を備えた医療機関で実施する必要があると主張しました。
日本医師会(日医)の小森貴常任理事は8日の記者会見で、遺伝子検査の在り方などに関する日医の見解を公表した。同検査に対する規制や監督については、厚生労働省と経済産業省の両省が担当する「分離所掌」となっていることが課題と指摘。今後は厚労省が一元的に管轄するよう提言している。【松村秀士】
見解は、日医の生命倫理懇談会がまとめたもので、遺伝子検査の課題や日本における母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)の現状などが盛り込まれている。
遺伝子検査については、両省による縦割りの分離所掌が続けば、「国民全員がダブルスタンダードによる矛盾の弊害に翻弄されることになるのは必定」と指摘。その上で、今後は厚労省が同検査を一元的に管轄し、単一の基準で適切な枠組みを構築するよう提言した。
NIPTに関しては、この検査の結果のみで他の検査を行わずに、中絶手術を行った事例があることから、産婦人科医に対するNIPTの特性に関する啓発の必要性を強調した。
NIPT実施、「カウンセリング体制がないのは問題」―日本医学会長
この日の会見で、生命倫理懇談会の座長を務める高久史麿・日本医学会長は、NIPTについて、「重要な役割を果たすが、カウンセリング体制がない状況で行うことは非常に問題」と指摘。妊婦らに対する検査前後のカウンセリング体制を備えた医療機関で実施する必要があるとした。
出典:医療介護CBニュース